便秘に伴って腹痛が起きる原因
腸には便を肛門の方向に動かす機能があり、硬い便で詰まりが生じている場合や、自律神経の乱れにより腸の動きが過剰になり痛みが生じる場合があります。
また、便の固まりが存在していることで腸が刺激され痛みが起きることもあります。
便秘に伴う腹痛の特徴
便秘に伴って腹痛が起こる場合、痛みが起こる場所も、痛みの性質も様々です。
便秘があれば必ず腹痛も起こるという訳でもありませんが、痛みの特徴としては以下が考えられます。
突然キリキリ痛み出す
便秘の状態自体はすぐに起こるものではなく、時間をかけて便が溜まって出来上がるものですが、それを押し出そうとして強い腸の動きが起こって痛みが生じる場合、突然にキリキリとした痛みが起こることも考えられます。
広範囲の痛み
便秘の場合、お腹の上から触ると、便の固まりを指で触ることができる場合もあります。
しかし、痛い部位は便のある場所だけとは限りません。便秘に伴って腹痛が起こる場合、ピンポイントの痛みというより広い範囲が痛くなる場合が多いです。
お腹を押した時の方が痛い
指でお腹を押した時と、急に離した時を比べると、押した時の方が痛い傾向があります。
便秘に伴う腹痛の対処法
排便して便の詰まりを取り、腸内部の圧を下げることが最も有効です。以下を試してみると腹痛の改善が期待できます。
温める
・お腹を温める
・靴下を履いたり、足湯をして下半身や腰を温める
マッサージ・体操
・お腹の右下→右上→左上→左下と、「の」の字を書くように手でマッサージする
・体をひねる、腰を回すような体操
ヨガ
■ 猫のポーズ
1:四つん這いになる
2:手を肩幅、足を腰幅程度に開く
3:息を吸いながら上体をそらし、首も伸ばす
4:息を吐きながらゆっくりと姿勢を戻し、背中を丸める
ツボ
名称 | 場所 |
---|---|
腹痛が治らない場合に考えられる疾患
腸閉塞
便やガス(おなら)が全く出ない場合、腸閉塞が起こっている場合があります。
特に、過去にお腹を切るような手術をしている場合には、腸の動きが低下する場合があります。腸の手術でなくても、子宮や肝臓など腹部臓器の手術をしている場合、腸が癒着している場合があります。
そういった場合、便秘を解消しようとして、水分をたくさん取ったりするとかえって悪化します。
強い腹痛があり、おならも出なくなって、吐き気があるような場合はすぐに外科を受診する必要があります。
便秘が酷い場合、病院ではどのような治療を行う?
摘便(てきべん)
便が肛門の近くまで出てきている場合、肛門から指を入れて、取り出せる範囲の便を出す「摘便(てきべん)」の処置を行うことがあります。
腸の動きが落ちている高齢者では特に有効です。
生活習慣の指導、便秘薬
その他、食生活・運動の指導や、便秘薬の処方を行います。
普段飲んでいる薬の中で、便秘を引き起こすものがある場合、薬を変えたり減らしたりすることもあります。
便秘によって腹痛を起こさないための予防対策
若い女性で、ダイエットのために炭水化物や脂質を摂らずに、野菜や食物繊維の多い食品ばかり食べていると、便の量が足りずに腸の動きが不十分になり、便秘になる場合があります。
以下の食事内容を取り入れることで便秘予防が期待できます。
豆や芋
野菜の中でも豆や芋を取ると便の量が増えます。
適度な脂質
・亜麻仁油(オメガ3脂肪酸)
・えごま油(オメガ3脂肪酸)
・オリーブオイル(オレイン酸)
上記の油を食事に取り入れ、適度な脂質を摂るようにすると、便の滑りが良くなります。
最後に医師から一言
腹痛には便秘以外にも様々な原因があります。
経験したことのない腹痛の場合、たとえ便秘があったとしても、便秘だけが原因と決めつけず、早めに内科・消化器内科を受診するようにしてください。
(監修:Doctors Me 医師)