完全栄養食とは
様々な意味がある言葉ですが、人間が活動し健康を維持するために必要な栄養が豊富な食品・食事を指すことが多いようです。
卵などは一つから生物全部が生まれる能力を秘めており、栄養豊富な食品と言えますが、不足する栄養素もあるため、それだけ食べていれば他は食べなくても良いというような単一の食品は存在しません。
完全栄養食と言われている食べ物
卵
殻ごと食べればカルシウムも取れますが、炭水化物が少ないという特徴があります。
食事中のコレステロールは必ずしも血中コレステロールと関係しないとも言われていますが、もともとコレステロールが高く脂質異常症として治療をしている方は、やはり卵は1日1個程度にしておいたほうが良いでしょう。
玄米
白米に比べビタミンB・ミネラルが豊富ですが、ビタミンA、C、カルシウムは少ないです。
大豆、納豆
畑の肉と言われるほどタンパク質が豊富であり、ミネラルや食物繊維も豊富です。
ビタミンA、Cやベータカロテンは乏しいという欠点はありますが、安価に大量生産でき、最近流行している粉末状の栄養機能食品も大豆がベースになっています。
身近にある完全栄養食に近いもの
宇宙食
宇宙食や兵士に支給される食事は完全栄養食と言えますが、単一の食品でできているわけではありません。
ペットフード
ペットフードは、それだけ食べていれば良いという意味で、ペットにとっては完全栄養食と言えます。
母乳や粉ミルク
生後5カ月ぐらいまでの(離乳食をまだ食べていない)赤ちゃんにとって、母乳や粉ミルクは完全栄養食です。
経腸栄養剤
・高齢者で食欲が落ちた人
・顎を怪我して噛めない人
・腸疾患のため固形物を食べられない人
上記の人のための経腸栄養剤(流動食に近いもの)が、パックに入って販売されており、病院の売店などで手に入ります。
完全栄養食のメリット・デメリット
メリット
■ 時短
サプリメントや人工的に栄養を調整した粉末状の食品(水や牛乳に溶かして飲む)が販売されています。
こういった製品は、忙しくてバランスの取れた食事を用意する時間がない人に好評です。
■ 環境汚染や食糧不足の改善
大量に生産すれば、農業や畜産による環境汚染も減り、世界的な食糧不足にも貢献すると言われています。
■ ダイエット効果
栄養の偏り(過剰や欠乏)がないため、肥満があればダイエットできます。
■ 栄養補給
偏食で筋肉量や骨量不足、貧血がある場合は改善されます。
デメリット
■ 満腹感が得にくい
完全栄養食だけで長期間生存しようとすると、味の飽きが生じ満腹感が得られにくいでしょう。
■ 顎や消化機能の退化
噛むことがなくなるために顎が退化する懸念があります。
また、粉末状の食品ばかり摂っていた後に、いきなり脂っこいものや硬いものを食べると、消化機能が衰えているため、消化不良から下痢や腹痛を起こす可能性があります。
完全栄養食を取り入れる際の注意点
農作物の場合、例えば生産過程や流通過程で何らかの汚染や品質劣化があった場合、そればかり食べていると影響が大きいことも考えられます。
同じ食品を多く食べるにしても、産地を変えたり、調理法を変えるといった方法がおすすめです。
また、その食品に含まれる栄養素が、加熱や調理で失われないかどうかも確認したほうが良いでしょう。
最後に医師から一言
人間にとって食事は栄養摂取以外の様々な意味合いを持っており、粉末を溶かして飲むだけでは満足感を長期間持続することは難しいと思われます。
できるだけ、栄養バランスの整った普通の食事を摂るように努力したいですね。
(監修:Doctors Me 医師)