痛風とは
血液中の尿酸が高くなり、溶けきれなくなった尿酸が結晶となり、関節にくっつきます。
何かの拍子にそれが剥がれ落ちると、敵と見なされ白血球によって攻撃され、風が吹いても痛いと言うような激痛を引き起こします。
圧倒的に男性に多く、足の親指が痛くなることがよくあります。
尿酸ができるメカニズム
尿酸ができる主な理由は細胞の破壊です。
普段からヒトの体は常に古い細胞を壊し、新しいものを作っていますが、その細胞が壊れた時に、細胞の核の仲から尿酸のもとになるプリン体が出てきます。
それを肝臓で尿酸に変化し、腎臓から尿と共に出て行きます。
尿酸が作られる量が多くても、出ていく量が少なくても、尿酸が過剰になって痛風の原因になります。
なぜ激しい運動をすると痛風になるの?
筋肉細胞が壊れる
激しい運動をすると筋肉の細胞がどんどん壊れるので、一時的にプリン体が過剰になり、肝臓で尿酸多く作られ、痛風発作が起きやすくなります。
脱水
激しい運動で、脱水になることにより、血液中の尿酸が濃くなり痛風を引き起こす要因になります。
ストレス
激しい運動は気分が良くても体にはストレスです。このストレスが尿酸を上げる元になります。
どのような運動をすると痛風になりやすい?
激しい運動、瞬発力を使うような無酸素運動が挙げられます。
力を使ったり、息があがる運動をすると代謝が亢進する上、激しく体を動かすと通常よりも多くのプリン体が作られ、尿酸値が上がります。
無酸素運動
・筋トレ(30分もするとほぼ確実に尿酸値は上がる)
・ウエイトトレーニング
・腹筋運動
・腕立て伏せ
・スクワット
・マラソンやランニング
など
運動をする際に注意をすること
・途中で水分をしっかり補充し脱水にならないこと
・運動後にアルコールを飲まないこと
・きちんと休息を入れること
痛風になりにくい運動とは?
有酸素運動
間欠的速歩(3分間速歩+3分間ゆっくり歩き)30〜60分など、軽いけれど多少負荷のある有酸素運動。
ヨガ、ストレッチ
筋肉をそれほど壊すことなく行えます。精神的なストレスも改善することができ、痛風には良いです。
その他
・水中で歩行
・ラジオ体操
・ゆっくりとしたサイクリング
痛風と体質の関係
日本人の約半数は痛風体質!?
痛風の7〜9割の人は、尿酸が上手く出ないタイプの人です。
そして、日本人の約半数は遺伝子の変異があり、上手く出ない体質と考えられています。
この体質の人はちょっとした食事や生活の乱れ、ストレスなどによって、痛風の危険が遺伝子変異のない場合と比べ、若い人では20倍にも高くなります。
ですが、日本人男性の半分が痛風になる訳ではありません。
元々の体質に加え、過剰な糖質や肥満によるインスリンの出過ぎで、尿酸が体外に出にくくなるのですから、食事や生活を見直せばかなり改善できます。
運動以外の痛風の原因
精神的ストレス
ストレスは腎血管を収縮して腎機能を低下させ、尿酸の排出量が低下します。
糖質の多い食事
インスリンの過剰を引き起こし、インスリンの過剰は尿酸の排泄を低下させるので痛風が起きやすくなります。
アルコール
ビールが悪者の代表のように言われますが、実際はアルコールが体内で分解されるときに尿酸が作られる上に、ストレスをかけ、さらに脱水を起こしますので、どのアルコールも痛風を起こしやすくなります。
薬剤
一部の薬剤も尿酸値を上昇させ、痛風を起こしやすくなります。
痛風予防に効果的な食べ物
尿をアルカリ性にする食材
尿酸は尿がアルカリ性だと良く溶けて出やすくなります。
■ 野菜、海草、椎茸
尿をアルカリ性にしやすいので、高尿酸血症の改善に役立ちます。
■ リンゴ酢
クエン酸の多いものも尿をアルカリにするため良い食材です。
牛乳・ヨーグルト
牛乳も尿酸を下げることが知られています。ヨーグルトや牛乳コップ1杯程度でも尿酸が下がります。
(参照:NEJM)
痛風予備軍セルフチェック
性別・体質
□ 男性あるいは閉経後の女性
□ 血縁の人に痛風の人がいる
□ 肥満
運動
□ 激しい運動をすることがある
□ ほとんど運動しない
食生活
□ アルコールを飲む
□ 糖質(穀類)や甘いものをよく食べる
□ 果糖の入った清涼飲料水をよく飲む
□ 水分を余り飲まない、飲んでもアルコールやお茶などの利尿作用のある物が多い
□ 早食い
□ 野菜を食べない
性格
□ ストレスが多い
□ 自己主張が強くて短気で早口
□ 何事にも積極的で、最後までやり通し約束を守る性格
最後に松本先生から一言
糖質に偏った食事を止め、睡眠・ストレスを適切にすること、激しくない運動をするか、激しい運動は短時間で済ませることなどは痛風予防の鍵です。
質の良い牛乳や野菜を摂り、楽しく運動し、素敵な生活を送りましょう。
プロフィール
- 監修:医師 松本 明子
- 1968年生まれ、鳥取大学医学部卒業。広島の病院で内科勤務した後、2009年~海外転出し、アメリカで予防医学を学ぶ。 2013年~「DNA Diet and Lifestyle遺伝子に沿った食事と生活」という、オンライン健康プログラムにより自然治癒力を最大限に引き延ばす、老化と病気の予防と治療のための健康指導を行っている。