子どもの感情や人格などは幼い時に形成されるといいますが、親からの愛情などを感じにくい環境によっては、心の成長に大きな影響を与えることがあるそうです。

 

そのまま大人になった場合、対人関係に問題が生じる恐れもあり、子どもが親に抱く「安心感=愛着」のような感情は大切なことだと思います。

 

今回は子どもの「愛着障害」について、原因・症状・対処法を医師に教えていただきました。

 

目次

 

 

愛着障害とは 

子どもの前での夫婦喧嘩

 

子どもが幼い時に養育者との間に「この人が守ってくれるから大丈夫だ」と思えるような関係=愛着関係を結ぶことができなかったことにより、心の成長や行動、対人関係に問題が生じることを指します。

 

 

愛着障害の原因 

子どもへの虐待

 

虐待や親との離別により、適切な世話を受けられず愛着を形成できないことが原因として考えられます。

 

その影響で、警戒心が強くなり誰に対しても攻撃的になったり、逆に見知らぬ人にでも見境なく抱き着いたりといった変わった行動を取るようになります。

 

子どもが愛着を持つようになる仕組み

子どもは生まれた時はただ不快であれば泣くだけですが、養育者が抱いてミルクを与えたりおむつを替えたり、話しかけたりして世話を繰り返すうち、「養育者は自分を守り快適にしてくれる」と認識し、養育者と見知らぬ他人を区別するようになり、養育者との間に強い結びつき=愛着を持つようになります。

 

子どもは養育者と引き離されると不安に思い、そのあと再度養育者と引き合わされると、養育者に近づいて目を見て抱き着こうとするなど、養育者を求める行動をとります。

 

成長していくと、徐々に自立し、自分で知らないものに近づいたり冒険をするようになりますが、養育者が常に見守っていてくれる・傷ついても慰めてくれると思うからこそそういった行動ができます。

 

 

愛着障害の症状 

警戒心を持つ子ども

 

■ 同世代の子どもと仲よく遊ぶことができず、警戒心が強く、暴力的になることもあります。

 

■ 泣いて甘えるようなこともなく、無表情な傾向があります。

 

■ 大人に対しても警戒心が強かったり、逆にべたべたとまとわりついたりといった不自然な行動を取ります。

 

■ 愛着障害を持つ子どもがケアを受けられないまま大人になると、情緒が安定せず、対人関係が不得意になることがあります。

 

■ 傷つきやすく、他人のちょっとした言動に反応してしまったり、卑屈になり自己評価が低い傾向があります。

 

■ 他人と親密な関係になりたいと思いつつ、友人・恋人・配偶者・自分の子どもとどう接して良いか分からないということもあります。

 

 

愛着障害の恋愛の特徴

精神面

恋愛での不安

 

愛着障害を持つ人は、大人になっても自信がなく、パートナーに認められたい・愛されたいと思いながらも、自分にそれだけの価値がないのではないか・裏切りを受けるのではないかという不安が付きまといます。

 

また逆に、相手に対して心を開かず、不満を内に貯めこむこともあります。自分にとっても相手にとっても快適な距離を保った人間関係を作りにくいと言えます。

 

行動面

彼を束縛する彼女

 

浮気を過剰に疑ったり、相手の行動に激怒したり、束縛しようとしたりという極端な行動に出やすくなります。

 

 

愛着障害の対処法

養護施設へ相談

 

子ども

5歳までの時点で、上記のような行動・情緒・対人関係の異常がある場合、愛着障害と考え、それまでの不適切な養育環境を改善し、安心できる環境の下で、再度養育者との関係を作り直すことになります。

 

経済的な問題や知的障害、社会的な孤立など深刻な問題があることが多いです。

 

環境を変える支援をしても不十分な場合は、親と離れて児童養護施設などに入所させ、施設職員を新たな養育者として信頼関係を作り直したり、里親のもとで養育を行うこともあります。

 

 

最後に医師から一言

育児に疲れた母親 

貧困や病気により、親が追い詰められると、子どもに愛情と余裕を持って接することが難しくなり、虐待から愛着障害が生じやすくなります。

 

親子ともに適切なケアを受けることが必要となります。

 

(監修:Doctors Me 医師)