人は「無くて七癖」とも言われますが、皆さんは自分の癖の自覚はありますか?

 

不安や緊張などの精神的なストレスによって、無意識に自分の髪や体を触る行動を「自己親密行動」と言うそうです。

 

今回は、自己親密行動の原因・行動の心理・改善方法などを、医師の井上先生にお話を伺いました。

 

目次

 

 

自己親密行動とは

髪をいじる女性

 

自己親密行動とは、心理的な要因が身体的な行動に表出することです。世間的には癖と言われる事もありますが、心理学的には男性よりも女性に多く、自分の手で自分の体などを触る癖に意味を持たせて、精神的な状態を把握することになります。

 

特に、過剰な緊張や心配している時は、どうしても心の動揺があり、それを解消させようとして、手で顔や髪を触ったり無意識にしているのです。

 

 

自己親密行動の原因 

頭を撫でられる子ども

 

自己親密行動の起源は幼児期の頃にあります。子どもが親に頭をなでてもらったり頭をなでてもらったりすることで安心感や充足感を満たされる行動を、大人になって自分自身に行うことで代償させているとも言われております。

 

 

これは自己親密行動?あなたの癖や行動から分かる心理

髪を触る・髪を指でくるくるする

髪をくるくるする女性

 

自分で髪の毛を触ることによって、「親に頭を撫でてもらう」ことの代償行為を満たしています。心配や緊張を感じている場面において、安心感などを求めるサインのひとつです。

 

髪を引っ張る・爪を噛む

爪を噛む 

 

これらの行動は自分に対する攻撃的な行動で、自分自身の存在や言動をポジティブに捉えることができず、心の葛藤が見え隠れしているサインであったり、思い描いたとおりにならない欲求を自分自身を傷つけることで昇華させる行動です。

 

腕を組む 

腕を組む女性

 

自分で体を包み込むイメージで「親にハグしてもらうこと」の代償行為になります。安心感を求める時にでやすい自己親密行動であり、緊張している時などは無意識に腕を組んでいたりします。

 

頬に手を当てる 

頬杖をつく女性

 

「幼少期に親に頬ずりしてもらうこと」の代償行為と言われています。そのため、髪を触ったり、腕を組むといった自己親密行動とバックボーンは似ており、不安や緊張している時に表出します。

 

机にある物を触っている 

デスクの上の文房具 

 

現在の状態に不満を抱いており、今すぐできない自己欲求の実現を手元での物を触ることで解消しようとしています。

 

体を掻く 

体を掻く女性 

 

体のなかでも「頭を掻く」という行為は、それ自体が不安や緊張を感じているだけでなく、葛藤や欲求不満などが行動として出ているとも言われます。

 

 

自己親密行動に隠れている病気は? 

髪を抜く女性 

 

髪を引っ張る自己親密行動の延長で、自分で自分の髪の毛を抜く人がいます。これは「抜毛症」といわれる、れっきとした精神的な疾患です。

 

10代の学童期に多いのですが、ストレスが根本にあって発症すると言われおり、本人も抜毛してはいけないとの認識があるので、誰も見ていないところで抜毛しています。髪の毛がターゲットになることが多いですが、眉毛だったり部位は様々です。

 

抜毛した時の開放感や快感がストレス発散とリンクしてしまって、自分ではやめることができなくなっています。

 

 

自己親密行動を改善する方法 

 カウンセリング

 

改善させなければならない行動とそうでない行動があります。特に改善させなければならないのは、上記の自分の髪を抜く行為です。明らかなストレスが潜んでおり、認知行動療法などを行うことが有益とされています。

 

時には、薬物治療や精神療法などのカウンセリングが必要になってきます。周囲の方は、本人に対して何回も注意したりしてプレッシャーを与えることなく、出来ているところをほめて本人がリラックスした状態で治療継続できるように対応してください。

 

 

最後に井上先生から一言

精神疾患の女性

 

自己親密行動は「単なる癖」とひと言で片付けられる事もありますが、背景には不安や緊張などからストレスを抱えていることもたくさんあります。相手の気持ちを読みとるサインとして考えれば、円滑な人間関係をおこなう補助にもなるでしょう。

 

また、髪の毛を引っ張るや髪の毛を抜くなど自傷行為は、精神疾患との関係もあるときがあるので、早めに近くの医療機関にかかるようにしましょう。

 

プロフィール

監修:医師 井上 智介
島根大学を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び臨床研修を修了する。 平成26年からは精神科を中心とした病院にて様々な患者さんと向き合い、その傍らで一部上場企業の産業医としても勤務している。