皆さんは、婦人科を受診したことがありますか?
最近では、レディースクリニックという名前もよく見かけるようになり、受診しやすくなっていますよね。
とはいえ、婦人科の診察は少し恥ずかしい、と受診をためらっている方もいるかもしれません。
そこで今回は、婦人科について医師に解説していただきました。
そもそも婦人科ってどんなところ?
婦人科は、女性のあらゆる病気や体の悩みに対応している診療科です。婦人科医は、女性が生涯を通して関わる女性のための総合医なのです。
子宮がん検診で婦人科に行ったことがあるという方もいると思いますが、日本では、妊娠を機に初めて産婦人科を受診して検査をしたという方も少なくありません。
一方で欧米諸国では、一般のかかりつけ総合医と同様に、「私の婦人科医」と呼ぶような、かかりつけ婦人科医をもっている方が多い傾向にあります。
かかりつけ婦人科医をもつメリット
定期的に受診できる「かかりつけ婦人科医」を持つことは、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。
1. 婦人科がん検診を習慣化できる
日本において、子宮頸がん検診を受けた際に、子宮頸がんが発見される割合は10000人中4人(1.86%)、乳がん検診では10000人中34人(4.05%)の方が乳がんであると診断を受けています*1。
日本と諸外国のがん検診受診率を比べてみると、2013年のデータ*2では、子宮頸がんにおける各国の検診受診率は以下になります。
アメリカ:85.0%
オランダ:66.1%
オーストラリア:56.8%
日本:37.7%
乳がんにおける各国の検診受診率は、以下になります。
アメリカ:80.4%
オランダ:82.1%
オーストラリア:55.0%
日本:36.4%
このように、日本の検診受診率は他国に比べて明らかに低いことがわかります。
検診でがんは発見できるにも関わらず、日本では多くの女性が検診を受けてないということになります。
子宮頸がんも乳がんも、またその他のがんにおいても、早い段階で発見、治療を開始すれば、治せる可能性は高くなります。
特に子宮頸がんは、他のがんに比べて20~30代など若い患者さんも多いため、検診は非常に重要です。
かかりつけ婦人科医をつくっておくことで、日々の忙しさの中でも検診を自然と習慣化することができるでしょう。
2. 女性特有の悩み全般に対応してくれる
婦人科は、月経不順、月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、更年期障害など、女性に関わる幅広い病気に対応しています。
特に子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣腫瘍などは初期の段階では特に症状がないことも多いです。
そのため、自分では気づかないうちにこのような病気になっていて、何らかの体の異常が出て初めて受診する、もしくは症状があっても我慢していることは大きな問題です。
これらの病気も早期発見することで、ピルや漢方、手術など治療の選択肢が広がります。かかりつけ婦人科医と相談しながら、自分に一番合う治療を見つけていくことも可能です。
3. 妊娠ができるよう体のメンテナンスができる
婦人科は、妊娠に関わる問題にも非常に重要な役割を担っています。
日本では、女性の社会進出や子育てしづらい環境などさまざまな要因によって、第一子平均出産年齢は、30.7歳(2015年時)まで上昇しています*3。
年齢が上昇することで、不妊に悩むカップルや、妊娠中の合併症も増えていることも事実です。
若いうちから、ちゃんと排卵しているか、妊娠にあたりリスクがないかなど、かかりつけ婦人科医がいればすぐ相談することができます。
4. 必要な場合は大きい病院を紹介してくれる
がんの可能性がある場合や、不妊治療を行うことになった場合など、必要に応じてより大きな病院や専門的な病院を紹介してもらうこともできます。
かかりつけ婦人科医の紹介があれば、よりスムーズに適切な治療を行うことができます。
5. 女性の体とうまく付き合うアドバイスがもらえる
婦人科では、病気の相談だけではなく、子どもを何人もつかなどの家族計画の相談や、生理をずらすといったピルによる月経周期のコントロールなど、女性の体とうまく付き合うアドバイスもしてもらえます。
このように婦人科で適切な処方や治療を受けることで、仕事やプライベートにおける生活の質(QOL)を高めることができますよ。
最後にかな先生から一言
婦人科にかかるのは不安、怖い、恥ずかしいと抵抗を持っていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、若いうちから受診しているとメリットはたくさんあります。
ささいな相談でもよいので、ぜひ婦人科を受診し、あなたのかかりつけ婦人科医を見つけてくださいね。
参考資料
*1 平成27年度地域保健・健康増進事業報告の概要(健康増進編). 厚生労働省. 2015.
*2 OECD Health Data 2013, OECD, 2013.
*3 平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況. 厚生労働省. 2015.