花粉症で鼻がムズムズ、くしゃみに鼻水、そんな不快な症状に悩まされている人は多いのではないでしょうか。ですが、この不快な症状は花粉だけが原因ではないかもしれません。

 

今回は、アレルギー性鼻炎には一体どのような対策が効果的なのか、アレルギーを専門とする武井先生に解説していただきました。

 

 

アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎とは、アレルギーの原因物質となるスギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉・ハウスダスト・ダニ・ペットの毛などによって、以下のような症状を繰り返す病気のことをいいます。

 

・くしゃみ

・鼻水(サラサラした水のような鼻水)

・鼻づまり

 

つまり、花粉症もアレルギー性鼻炎の一つなのです。

 

また、季節性の症状であるか、一年を通して症状があるかどうかで、原因を推定することができます。 

 

・季節性の場合:花粉症(スギやヒノキは春 、ブタクサやキクは秋など)が原因であることが多い 

・通年の場合:ハウスダスト、ダニ、ペット(犬・猫)が原因であることが多い

 

 

生活ではどんな点に気をつけたらよい?

【ダニ、ハウスダスト】

・室内を清潔に保つ。こまめに掃除機をかける 

(床面1平方メートルあたり20秒かけてしっかりと!) 

・枕、ふとん、ベッドマットにはダニを通しにくいカバーをかける 

・寝具は日光に干した後、掃除機でダニやほこりを吸い取る 

・湿度50%、室温20~25℃を保つよう努力する 

・可能であれば、カーペット、畳ではなくフローリングにする 

・布張りのソファーはダニが発生しやすいので革張りのソファーのほう方がよい 

・ぬいぐるみなどは洗う

 

【花粉に対して】

・花粉情報に注意して、飛散が多い時は外出を控える 

・飛散が多い時は窓を閉める 

・飛散が多い時に外出する場合は、マスクや専用のメガネを使用する 

・帰宅時に衣服をよく払ってから家の中へはいる 

・柔軟剤や花粉をつきにくくするスプレーなどを活用する 

・帰宅後すぐにうがいをし、入浴して髪の毛についている花粉などを洗い流す 

・空気清浄機を使用する

 

【ペットについて】

・こまめに掃除をして清潔な環境にする 

・窓をあけるなど、通気のよい環境にする 

・ペットに定期的にシャンプー、ブラッシングをして、清潔に保つ 

・ペットのケージも清潔に保つ 

・可能であれば、庭など屋外で飼育し室内(特に寝室)へ入れないようにする

 

 

治療にはどんな方法がある?

まずは原因となるようなものを避ける、上記のような工夫が必要とされますが、その他に薬物療法、特異的免疫療法、手術療法などがあります。

 

症状に対しての薬物療法

飲み薬は抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬をはじめとする、アレルギーによる炎症を抑える内服薬が使用されます。

 

鼻噴霧用の薬ではステロイド薬が使用されます。鼻づまりがひどい場合は点鼻用の血管収縮薬が使われることもあります。

 

アレルギーを起こしにくくする特異的免疫療法

アレルギーの原因物質から抽出したものを、ごく少量ずつ長期間投与して、身体を慣れさせて、アレルギー反応を起こさないようにする治療です。

 

これまで注射でおこなわれていましたが、舌下免疫療法と呼ばれる、舌の裏に薬を滴下する方法でおこなうことができるようになりました。

 

手術

点鼻用血管収縮薬などを使っても、ひどい鼻づまりの症状が改善されない場合などに検討されます。

 

 

最後に武井先生から一言

アレルギー性鼻炎が疑われる場合には、原因検索とその原因に合わせた予防が重要です。また、症状もつらいと思いますので、併せて点鼻薬や内服薬などを症状を見ながら対応していきます。

 

近年では、アレルギー症状を起こさないための舌下免疫(スギ、ダニ)という選択肢も増えてきていますので、担当医と相談してご検討ください。

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。