クーラーが効きすぎているオフィスで仕事をしていると、体が冷えて体調を崩してしまうこともありますよね。実は、冷房による冷えは「むくみ」の原因にもなるそうです。
そこで今回は、松浦先生に「足がむくむメカニズム」と「冷えによる足のむくみ対策」について教えていただきました。
足がむくむメカニズム
足のむくみは、血液やリンパの流れと深い関係があります。
心臓から送り出された血液は、動脈を通って体の隅々まで栄養や酸素を届けています。そして、老廃物を回収しながら静脈やリンパ管を通って心臓に戻ってきます。
静脈やリンパ管には血液やリンパ液を運ぶ力は備わっておらず、下半身の筋肉がポンプの役割を果たしています。同じ姿勢が続いたり、筋肉が使われていなかったりすると、血液やリンパ液が心臓に戻りにくくなります。その結果、余分な水分や老廃物が滞り、足がむくみます。
女性は、男性よりも筋肉量が少ないこと、スカートやストッキングなどの衣服の締め付けがあること、ホルモンバランスによってむくみやすい時期があることなども、むくみの悪化に影響します。
冷房が効いたオフィスで足がむくむ理由
冷房によって体が冷えると、血流が悪くなりがちです。オフィスでは長時間同じ姿勢でいることも多く、筋肉のポンプがうまく働きません。そのため、心臓から最も遠い下半身は、特に冷えやむくみが出やすくなります。
血流が悪くなってむくみが出てくると、さらに冷えやすくなって悪循環になります。
足のむくみに有効な3つの対策
冷たいものは控えて体を温める
冷たい食べ物や飲み物は、体をさらに冷やします。できるだけ、冷たい物は控えてください。
余分な水分を排出する作用のあるカリウムを多く含む食品や、体を温める作用のある食品を積極的に摂るのもよいでしょう。適度な水分補給や、塩分やアルコールを控えることもむくみ予防になります。
靴下などで足元を冷やさないようにすることも効果的です。
ストレッチ&マッサージ
休憩中などにストレッチをすると、血流がよくなってむくみが解消されます。座ったまま足を前に投げ出して足首を動かすだけでも、十分に効果が期待できます。
マッサージは、血流を意識して末梢から中心に向かってしましょう。股関節やひざ関節の部分など、リンパが鬱滞しやすい場所をほぐしてから行うのもよいでしょう。
足ツボを押す
むくみによいとされている足ツボはたくさんあります。そのうちの2つを紹介します。
「足心(そくしん)」
足の裏のちょうど中央にあるツボです。足のむくみに効果があることが知られています。腎臓機能を活発にすることで、むくみをとる効果が期待されるツボです。
「湧泉(ゆうせん)」
足心より少し指寄りで、足の指を縮めたときにへこむ部分にあります。湧泉は、足の疲れを解消してくれる役割があるといわれます。
松浦先生からのアドバイス
冷えやむくみに悩んでいる女性はとても多いようです。暑い夏は、薄着でいることも多く、たくさん汗をかくと思います。室内外の寒暖差も顕著なうえ、汗が乾くときに熱が奪われるため、体はさらに冷えやすくなります。
「冷えは万病のもと」とも言われますが、むくみだけではなく、さまざまな体調不良の原因ともなります。食生活や運動習慣を見直し、日常生活の中にストレッチやマッサージなどを気分転換もかねて取り入れるとよいでしょう。
プロフィール
- 監修:医師 松浦 恵
- 北海道大学医学部卒業後、大学病院、小児病院などで勤務したのち、東京医科歯科大学大学院を卒業。研究を続けながら、成長発達、思春期、内分泌疾患を中心に、健診や予防接種も含めた臨床に携わっている。