新型コロナウイルス感染症治療薬の開発や承認審査が加速しています。特に注目されているのが、以前からその効果について言及されることが多かった「アビガン」「レムデシビル」です。

 

レムデシビルにはどんな効果や副作用があるのか、また、アビガンの治療効果はあるのかどうか。気になるポイントを医師に解説していただきました。

 

目次

 

 

新型コロナウイルス感染症とは 

新型コロナウイルスの特徴

新型コロナウイルスは野生動物を感染源とするウイルスですが、中国の武漢市内でヒトからヒトへの感染が拡大しました。

 

潜伏期間は10~14日とされ、11.5日以内には97.5%程度の発症があるとされています。

 

ウイルスの感染経路は接触感染・飛沫感染に加えて、エアロゾル(換気ができない状況ではウイルスを含む小さな水滴)とよばれる感染経路も特徴です。

 

換気ができない部屋では、通常の飛沫では届かない場所でも感染をする可能性があるのです。

 

新型コロナの感染経路

 

新型コロナウイルスの症状

典型的な初期症状はありませんが、発熱、乾いた咳に加えて頭痛、筋肉痛が多くみられ、嗅覚・味覚障害を伴うこともあります。

 

呼吸状態の悪化はウイルスそのものによる肺炎のほか、ウイルス感染によって起こされた免疫の過剰免疫によるものと考えられています。

 

感染例の多く(80%以上)は無症状あるいは軽症で、1週間程度で改善をしていきます。

 

一方、糖尿病・高血圧・呼吸器や循環器疾患、免疫不全がある場合には急激に呼吸状態を含めて状態が悪化するケースもあります

 

現時点(2020年5月4日)では抗ウイルス薬(特効薬)がなく症状に合わせた治療を行っています。

 

 

新型コロナウイルスをめぐる治療薬開発の経緯は?

これまで、インフルエンザの治療薬やエボラ出血熱、エイズの治療薬をトライアルとして用いた結果、症状が軽減したという少数の報告は日本のみならず諸外国でもあり、論文報告としてまとめられていました。

 

そして5月7日には、国内初の新型コロナウイルス治療薬として米国の製薬会社が開発した「レムデシビル」が承認されました。

 

レムデシビル以外の薬剤についても治験が進められ、いくつかの治療薬の選択肢が挙げられてきているところです。

 

 

レムデシビル以外の新型コロナウイルス治療薬とは?

治療薬候補として研究が進められているものとしては、アビガン(インフルエンザ)、オルベスコ(吸入ステロイド)、ヒドロキシクロロキン(マラリア)などがありました。

 

また、ウイルス感染によって起きた過剰な免疫を抑制する薬剤として、ステロイド(抗炎症薬)、トシリズマブ(リウマチなどで用いられるIL-6受容体拮抗薬)などがあります。

 

 

アビガンとレムデシビルの違いは何?アビガンの承認見通しは?

国内初の新型コロナ治療薬レムデシビルとは

レムデシビルは、アビガンと同様にウイルスの増殖を抑制する薬剤で、エボラ出血熱やマールブルグ熱の治療薬です。

 

日本では初めて新型コロナウイルス治療薬として承認されました。主に重症の患者に使用されます。

 

米国の医学雑誌において新型コロナウイルス感染症患者に対して効果があるとされており、重症の投与例では60~70%程度で効果がみられたという報告がありります。

 

副作用としては肝機能障害があげられています。

 

  重症 Covid-19 患者に対する未承認薬レムデシビルの人道的使用

 

アビガンは新型コロナに効果はあるの?

アビガンは新型インフルエンザの治療薬として日本で開発された薬剤です。

 

インフルエンザの治療薬であるタミフル・リレンザなどに似て、ウイルスの増殖を抑制する働きがあります。

 

これまで、新型コロナ治療薬としての承認を目指して藤田医科大学を中心とした医療機関グループが臨床試験が実施されていましたが、「ウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたものの、明確に『効果がある』とは言えない」という趣旨の最終報告がなされました。

 

現状は承認の見通しは立っていません。ただ、アビガンを開発した企業は治験を継続しており、今後さらなる研究結果の報告が待たれます。

 

 

藤田医科大学「ファビピラビル(アビガン)特定臨床研究の最終報告について」

 

新型コロナウイルス治療薬のまとめ 

多くの人が無症状・軽症例で1週間程度で改善が予測される一方、持病がある方では症状の悪化をおこす傾向がある新型コロナウイルス感染症。

 

 

副作用などの懸念点もありますが、レムデシビルの使用や、今後のさらなる研究により効果が見込まれる薬の開発によって、中等症・重症の方への提供による症状の改善が期待されます。

プロフィール

監修:医師 武井 智昭
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。