鼻水や鼻づまりが長引いている、頭が重い感じが続く、匂いがわかりにくいー。
こうした症状を引き起こす病気の一つに慢性副鼻腔炎があります。今回は、慢性副鼻腔炎のさまざまな症状や治療法などの最新情報をお伝えします。
鼻づまりが治らない…。慢性副鼻腔炎の症状とは?
鼻(鼻腔)の周りには“副鼻腔”と呼ばれる骨の空洞があります。この副鼻腔は自然口と呼ばれる通り道で鼻の中と繋がっています。
この空間に炎症が起き、「副鼻腔炎」を発症します。
副鼻腔炎は風邪のウイルスや細菌、アレルギーなどにより、副鼻腔の粘膜に炎症が起きている状態です。
さらに、粘膜が腫れたり鼻水がたくさん作られたりすることで、副鼻腔の出口である自然口を塞いでしまいます。すると副鼻腔の中で作られた分泌物は外に出られなくなり、中に膿(うみ)が溜まってしまいます。
急性期には鼻づまり、ドロっとした匂いのする鼻汁が出る、鼻の周りや頬、額が痛い、熱が出るなどの症状が現れます。
一般的にこうした症状は4週間以内に治まりますが、これらの症状がおよそ3ヶ月以上続くと「慢性副鼻腔炎」と呼ばれます。
匂いを感じなくなる?慢性副鼻腔炎がもたらす困りごと
匂いというのは、鼻の奥にある嗅細胞という神経細胞に匂いのもととなる物質が届き、脳に信号が伝わることで認識されます。
しかし鼻の中の粘膜が炎症を起こすと、粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなります。
それに合わせて空気の流れも悪くなり、嗅細胞に匂いのもととなる物質が届きにくくなるのです。
さらに粘膜の炎症が強いと、嗅細胞がダメージを受けて刺激を感じにくくなるため、匂いがわかりにくいといった症状を引き起こします。食べ物の味が感じにくくなる症状を伴う場合もあります。
そのほか、慢性副鼻腔炎によって鼻づまりや頭が重いなどの症状が長引くと、仕事に集中できない、夜眠れないなど、知らず知らずのうちに日常生活に支障をきたしてしまうことも考えられます。
副鼻腔炎が長引くと…「鼻茸」ができる!?
慢性副鼻腔炎では、鼻の粘膜に慢性的に炎症が起きることで、鼻茸(はなたけ)と呼ばれるポリープが出来てしまうことがあります。重力で粘膜から垂れ下がったように出来ていくために、キノコのようになることからそう呼ばれています。
鼻茸ができると空気の通り道が狭くなるので、鼻づまりの原因となったり、匂いを感じにくくなる原因となります。
鼻の症状が長引いていて喘息を合併している人などは特に、鼻茸の存在を疑い、耳鼻科で検査を受けることが大切です。
慢性副鼻腔炎の治療法やセルフケア
慢性副鼻腔炎の治療法(処置療法・手術療法・薬物療法)
副鼻腔炎が慢性化した場合、一般的にはまず、抗菌薬を少ない量で長期間服用する治療やネブライザー療法(炎症を抑える薬剤を鼻粘膜に向けて放射)を行います。
なかなか治らない慢性副鼻腔炎では、粘膜の炎症を抑えるために点鼻や内服でステロイドを使う場合があります。
それでも改善しない場合や鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎では、炎症の原因となる物質を直接抑制する生物学的製剤(注射薬)が適応となることがあります。
そのほか、炎症を起こしている粘膜や鼻茸を手術で取り除くケースもあります。
鼻づまりを軽減するためのセルフケア
自宅でできるセルフケアとしては、鼻をお風呂や蒸しタオルで加湿、加温する、鼻うがいなどが効果的です。
ただし、自己判断をせずに、気になる症状が続いている場合には耳鼻科に相談しましょう。
まとめ
慢性副鼻腔炎をセルフケアのみで完治させるのはなかなか難しい場合があります。
鼻詰まりや匂いが分かりづらいといった症状が長引いている方は、早めに受診し適切な治療を受けましょう。
慢性副鼻腔炎や嗅覚障害に悩む方へ。
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参考: