日本では1964年以降にサウナが全国的に一挙に普及されたと言われており、サウナに入浴すると健康的な身体を作り上げて生活のパフォーマンスを上げるのに最適な健康法だと考える人が多くいます。令和に入り、男女ともにサウナブームが到来しているともいわれる昨今、サウナについての基本的な知識を医学的に紹介します。

目次

整うとは?サウナで得られる身体へのメリット

通常、サウナの室内温度は80度以上となり、汗をかいて身体の老廃物を排除してくれるなど健康面に効果が期待できるなど、心身をコンディショニングしてくれます。サウナにはいわゆる『温熱効果』があり、体が温まって全身の血流増加に伴う各種のメリットが考えられます。

 

サウナの健康効果として、温熱による血管拡張による血流の改善効果があるということは広く知られており、血液の流れはわれわれ人間にとっては生命にとって欠かすことのできないライフラインとしての大事な機能です。そのために、体が温まって全身の血管が拡がることで、血液の流れがとても良くなり、日常で溜まっている疲労を回復する効果につながると期待されます。

 

医学的な観点から考えても、「免疫力アップ」、「うつ病予防」などを含めて、予防医学に寄与できて更なる健康度を増幅していくために欠かせない数々のメリットを享受することができます。さらに、皮膚の美肌効果もあるとされており、大量に発汗するかことで毛穴の皮脂を取り除くことができ、肌の触り心地がみるみる良くなると共に、サウナに入るとその発汗作用によって汗腺が活発化し新陳代謝機能が増大します。

 

サウナで大量にかいた汗をかけ湯で流してから、水風呂に入るという温冷交代浴によって血管機能が増強して爽快感が倍増すると考えられます。上記のような効果により体全体の血流量が多くなり、発汗に伴う気持ちよさを体感することを「整う」と表現する人が多いのではないでしょうか。

効果的なサウナの入り方

サウナの種類にもよりますが、入浴時には決して無理をせずに最初の段階は5分くらいの滞在時間を目安にその日の体調と相談しながら、しんどくならない程度にサウナ入浴を楽しむことがもっとも重要なポイントです。

 

一般的に、80℃の室温で10分以内の滞在時間を目標として、湿度によっても入浴目安時間は変わりますので、額に沢山の汗をかいた時点で一度サウナから出ることを意識しておきましょう。サウナでは、足側より頭側の方が通常熱くなる傾向がありますので、日常的に足先の冷え症状が気になっている方は体育座りをして姿勢を変えてみるなど、足を出来るだけ挙上するなど入浴時に工夫しましょう。

お湯に浸かる入浴とサウナの違い

サウナといえば、サウナストーブに水をかけて熱い蒸気であるロウリュを利用して入浴する熱気浴等をイメージしますし、それに対してお風呂につかる入浴というのはお湯をはった湯船に身体を浸かる温水浴を想像しますね。

 

両者における決定的な違いは、後者では浮力、そして身体に水圧がかかる一方で、サウナ入浴では浮力や水圧は普段の暮らしと全く相違点がありません。湯船に浸かると、人の体重は浮力効果が働くことによって通常の約1割程度になると言われており、日常生活での体重負担と比較してかなり軽減されることになります。

 

これにより関節に痛みを感じる人や同じ体勢を保つのが困難な人は体の負担を減らしながら体を温めることができます。入浴には入浴のメリットがあり、サウナのほうが優れているというわけではありません。

 

また、両者が異なる点として、お風呂においては足から首あたりまでお湯に浸かって温まる一方で、サウナ入浴においては蒸気による熱成分が室内上部から巡ってくるために足元より頭や頚部、肩まわりでより温熱効果を感じることが出来ます。

サウナを利用する際の注意点

サウナに入浴すると、一度に500ミリリットル以上の水分が体から奪われることになると言われており、もし水分をまったく補給せずに脱水の状態で放置すれば、全身の血流が悪くなって熱中症に陥ることも懸念されます。脱水状態が悪化すれば、血液の粘凋度が高まって血塊や血栓が形成されやすくなって、その結果として太い主要血管が閉塞すると重篤な心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねません。

 

命に直結する重大な疾患を予防するために、サウナ前には飲酒せずに入浴前には予めコップ1、2杯程度の水分を補給しておく、あるいはサウナ上がりに休憩する時間を設けて、十分に水分を補給して血液の流れを良好にしておくことが重要です。

 

また汗で水分とともにミネラルも体の外に出ていくため、塩分補給も適切に行うようにしましょう。スポーツドリンクは糖分を多く含むものも多いため大量に飲むことには注意が必要です。経口補水液など、塩分濃度が調整された飲料を利用すると効果的です。

 

プロフィール

監修:医師 甲斐沼 孟
国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長。 救急診療のみならず、消化器外科や心臓血管外科、総合診療領域に精通しており、学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行う。