春先や秋口になると、鼻のムズムズやくしゃみ、鼻づまりに悩まされる方も多いのではないでしょうか。これらの症状は、空気中に舞う花粉が鼻の粘膜に付着し、免疫システムが過剰に反応することで引き起こされます。鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れや過剰な分泌物が生じることで、不快な症状が続くこともあります。市販の点鼻薬を適切に活用することで、こうした症状を和らげることができます。

 

目次

 

鼻炎症状に使われる点鼻薬の種類

鼻の症状を抑えるために、ドラッグストアではさまざまな点鼻薬が販売されています。実は、点鼻薬には配合されている成分に違いがあり、大きく3つのタイプに分けられることをご存知でしょうか。

 

1つ目は、鼻の粘膜の血管を収縮させることで鼻づまりを即座に解消する「血管収縮剤配合」のタイプ。2つ目は、アレルギー反応そのものを抑え、症状を根本から軽減する「ステロイド配合」のタイプ。そして3つ目は、ヒスタミンの働きを抑えてくしゃみや鼻水を防ぐ「抗ヒスタミン成分配合」のタイプです。

 

どの点鼻薬を選ぶべきかは、症状や使用目的によって異なります。即効性を求めるなら血管収縮剤タイプ、長期的なケアならステロイドタイプ、くしゃみや鼻水がひどい場合には抗ヒスタミンタイプが適しています。これらの違いを理解し、状況に応じて使い分けることで、より効果的な対策が可能になります。

市販の点鼻薬3種類とその特徴

血管収縮剤配合の点鼻薬

このタイプの点鼻薬は、鼻の粘膜にある血管を収縮させることで、腫れを抑え、鼻づまりを即座に解消します。使用後、短時間で効果を実感できるのが特徴です。

 

しかし、注意が必要なのは、長期間の使用は避けるべきという点です。連続して1~2週間以上使用すると、薬剤性鼻炎を引き起こすリスクが高まります。これは、薬の効果が薄れ、逆に鼻づまりが悪化する現象です。したがって、使用は短期間にとどめ、症状が改善したら2週間程度の休薬期間を設けることが推奨されています。

 

  • 主な成分:ナファゾリン、トラマゾリン
  • 主な商品名:ナザールスプレー(佐藤製薬)、ジキナN鼻炎スプレー(富士薬品)

 

ステロイド配合の点鼻薬

アレルギー反応そのものを抑えることで、鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状を総合的に改善します。効果が現れるまでに1~2日かかるため即効性はありませんが、継続的に使用することで高い効果を発揮します。

 

  • 主な成分:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル
  • 主な商品名:ナザールαAR 0.1%(佐藤製薬)、エージーアレルカットEXc(第一三共ヘルスケア)、パブロン鼻炎アタックJL(大正製薬)

抗ヒスタミン成分配合の点鼻薬

このタイプの点鼻薬は、アレルギーの原因物質であるヒスタミンの作用をブロックし、くしゃみや鼻水の発生を防ぎます。即効性があり、比較的安全性が高いとされています。

 

  • 主な成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩
  • 主な商品名:コンタック鼻炎スプレー(グラクソ・スミスクライン)、パブロン鼻炎スプレー(大正製薬)

花粉のシーズンにおける点鼻薬の効果的な使い方

花粉が飛び始める前から、ステロイド点鼻薬を継続的に使用することで、症状を抑えることができます。これにより、くしゃみや鼻水、鼻づまりが本格的に出る前に、炎症を抑えておくことができます。ただし、ステロイド点鼻薬には使用期間の制限があるため、添付文書をよく確認し、適切な期間を守ることが重要です。

 

もし、すでに症状が出てしまった場合には、抗ヒスタミン成分配合の点鼻薬を併用すると効果的です。抗ヒスタミン成分はアレルギー反応のもととなるヒスタミンの働きを抑え、くしゃみや鼻水を軽減します。

 

また、鼻づまりが特にひどいときには、血管収縮剤配合の点鼻薬を短期間だけ使用するのがよいでしょう。血管収縮剤は即効性があるため、仕事や睡眠前など、どうしても鼻づまりを解消したい場面で役立ちます。ただし、長期間使用すると薬剤性鼻炎のリスクがあるため、数日以上の連続使用は避ける必要があります。