なかなか寝つけない、夜中に目が覚める──そんな悩みを感じている人に向けて、簡単にできるリラックス法を紹介します。今回は「耳元を温める」ことで得られる安眠効果について、理由と具体的な方法を解説します。

 

目次

 

耳を温めると眠くなる?その理由とは

耳には多くの毛細血管が集まっており、ここを温めることで血流が促進されます。さらに、耳周りには副交感神経が通っているため、温かい刺激を与えるとリラックスしやすくなるのが特徴です。

 

副交感神経が優位になると、体は自然と「休息モード」に切り替わります。心拍数が落ち着き、呼吸もゆっくりになり、眠りに入りやすい状態をつくり出してくれます。

 

実際に、オランダで行われた研究では、耳の皮膚温度が睡眠の開始と関連していることが報告されています[1]。耳元の温度が上がると、眠りにつきやすくなるメカニズムがあると考えられています。

耳を温めることで得られる安眠効果

耳を温めると、体全体の緊張がほぐれ、リラックスしやすくなります。血流がよくなることで手足も温まり、体温が緩やかに上昇します。その後、深部体温(体の中心の温度)が自然に下がることで、眠気が訪れやすくなります。

 

寝つきが悪い、夜中に目が覚めてしまうといった悩みを感じている人にとって、耳を温める習慣は取り入れやすい安眠サポートの一つといえるでしょう。

正しい耳の温め方と注意点

耳を温める方法はいくつかあります。家にあるもので手軽にできるのは、40℃程度の蒸しタオルを使う方法です。濡らしたタオルを電子レンジで軽く温め、耳全体を包み込むように当てます。ただし、タオルは冷めやすく、温度管理にも注意が必要です。

 

より手軽に続けたい場合は、市販の温熱アイマスクや耳を包むタイプのホットピローも便利です。使い捨てタイプの温熱アイマスクは衛生的で、安定した温かさが得られます。耳専用の温熱グッズなら、耳周りを集中的に温められるものもあります。

 

いずれの場合も、やけどを防ぐために高温になりすぎないよう注意し、心地よいと感じる温度で、10分程度を目安にリラックスするようにしましょう。

まとめ:眠れない夜に、耳元からリラックス

耳を温めるだけでも、体はリラックスしやすくなり、自然と眠気が訪れます。難しい準備は必要なく、タオルひとつでできる簡単な方法です。

 

なかなか寝つけないときや、仕事や勉強で緊張が抜けない夜に、耳元からリラックスする習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

[1] van Marken Lichtenbelt, W. D., et al. "Skin temperature of the ear is associated with the onset of sleep." Journal of Sleep Research. 2021. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsr.13707