産後、お腹に痛みを感じたり、不快なにおいの悪露が出たりするときは、子宮復古不全になっている可能性があります。子宮復古不全とは、子宮の収縮不全のために産後の子宮の回復が妨げられている状態です。

経過が正常だと、子宮は1カ月で元に戻るはず

お産の後、子宮は急速に収縮し、元の大きさに戻ろうとします。その期間は、おおよそ6〜8週間だといわれています。
経過が正常であれば、産後1週問ぐらいは、赤褐色のおりものが続き、次第に黄色、白色と変化し、1カ月後ごろには透明になります。
子宮復古不全では、この子宮の回復がうまくいっていない時に起こります。子宮は大きく、やや柔らかで、赤褐色の悪露が続くことがあります。

復古不全が起こる、3つの理由

【1】胎盤や卵幕の一部が子宮内に!?
お産の後、すべて排出されるべき胎盤や卵膜の一部が、子宮内に残っている(胎盤遺残、卵膜遺残)ことが考えられます。子宮内に残った胎盤、卵膜は次第に組織化されて、胎盤ポリープを形成し、稀ではありますが、産後1週間以降に、子宮内に残った胎盤、子宮がゆるみ大出血を起こすこともあります。
【2】子宮内感染
【3】子宮筋腫合併

どうやって診断されるの?

産褥子宮復古不全の診断は、産褥期に子宮が異常に大きく軟らかく、子宮底が高いという臨床所見により診断されます。内診所見や悪露に異常が認められた場合には、超音波断層法を行うことが大切です。
これにより、子宮の大きさ、子宮内容の残存物や子宮腔内の血液などの貯留を、画像として客観的に評価することができます。

5つの心がけと治療法

【1】順調な排尿や排便を心がけます。
【2】子宮の復古を促すために、安静にし過ぎず、適度に動くようにします。
【3】授乳することで子宮の収縮も促されます。
【4】多くの場合子宮収縮剤を1~2週間投与します。
【5】場合によっては人工的に内容物を取り除き、感染予防のために抗生物質を投与することもあります。

異常を感じたら、すぐに病院へ

赤い血のような悪露が続くようでしたら、かかりつけの産科を早めに受診しましょう。産褥子宮復古不全は産褥晩期出血、細菌感染、産後の性器の機能障害にもつながっていくため、専門医による注意深い産褥管理と適切な早期処置が必要です。