ツツガムシ病とは
ツツガムシ病は、ダニの一種ツツガムシによって媒介される感染症です。患者は、草むらなどで、有毒ダニの幼虫に吸着され感染します。また、かつては山形県、秋田県、新潟県などで夏季に河川敷で感染する風土病でしたが(古典型)、戦後新型ツツガ虫病の出現により北海道、沖縄など一部の地域を除いて全国で発生がみられるようになりました。
ツツガムシ病の症状
ツツガ虫に刺されたから発症するまでは、5日から2週間ほどです。ツツガ虫に刺されたという自覚症状はほとんどありません。初期症状は、風邪をひいたときに似ており、頭痛や寒気がみられます。その後、39度以上の発熱で発症します。2日目くらいから、胸や背中、腹部などの体幹部に2〜5ミリほどの赤褐色に膨れた蕁麻疹のような発疹がみられ、後手足にも広がっていきます。その後、5日目くらいに発疹は消えていきます。また、低ナトリウム血症、筋肉痛、目の充血が見られることもあります。また、多くの人に特徴的な刺し口がみられ、ツツガ虫が刺した刺し口が腫れ物やかさぶたのように見つかることがあります。ツツガムシが好んで刺すのは、腋の下、下腹部、内股、陰部など皮膚の柔らかく隠れた少し湿った部分です。子供では頭を刺されることもあります。この発熱、刺し口、発疹がツツガムシ病発症の主要3兆候とよばれ、殆どの患者にみられる症状です。発疹が見え始めた初期症状のうちに、病変に気付き、適切な治療を受けられれば、比較的早く症状を抑え治すことができます。放置したり発見が遅くなり重傷化すると、髄膜脳炎、播種性血管内凝固症候群や、多臓器不全で死亡することもあります。
ツツガムシ病の原因
ツツガムシ病は、リッチケアという病原菌を起因とする感染症である。ツツガムシは一世代に一度だけ、卵から孵化した後の幼虫の時期に哺乳動物に吸着して、組織液を吸います。その際に菌を媒介します。ツツガムシ病の起因菌はオリエンティア・ツツガムシです。他のリケッチアと同様に、細胞外では増殖できない偏性細胞内寄生細菌です。菌を媒介するのは、赤ツツガムシ、タテツツガムシ、およびフトゲツツガ虫の3種類で、 それぞれのダニの0.1〜3%が菌をもつ有毒ダニです。この有毒ダニに吸着されると感染します。新型ツツガムシ病を媒介するタテツツガムシ、およびフトゲツツガムシは秋〜初冬に孵化するので、この時期に関東〜九州地方を中心に多くの発生がみられます。また、フトゲツツガムシは寒冷な気候に抵抗性があるので、その一部が冬を越し、雪解けとともに活動を再開するため、東北・北陸地方では、春から初夏にかけても発生がみられます。また、古典型ツツガムシ病の原因となったアカツツガムシは現在消滅したと考えられており、夏期に発生ピークはみられません。現在確認されているツツガムシ病は新型と考えられます。
ツツガムシ病の予防/治療法
ツツガムシ病には、予防するワクチンはないために、ダニに刺されないことが唯一の予防法になります。まずは、ダニのいる汚染された地域、河川敷や草むらなどに近づかないようにすることがなによりの予防法です。もし、そのような汚染地域にに近づく場合は、帽子、長袖、長ズボン、長靴、手袋を着用し、できるだけ肌を露出させないようにするのがいいでしょう。また、肌が露出するところには、ダニの忌避剤(虫よけ剤)を使用するのも有効な予防法です。また、ダニがついた恐れがある脱いだ上着やタオルは、不用意に地面や草の上に置かないようしましょう。ダニが潜んでいそうな草の上に座ったり、寝転んだりするのもやめておいた方がいいでしょう。また、そのような汚染地域から帰宅した場合は、すぐに入浴し、体をよく洗い、新しい衣類に着替え、脱いだ衣類はそのまま放置せず、すぐに洗濯するようにしましょう。ダニは大変小さいですが油断は大敵です。誤ったダニの駆除方法として、アルコールや徐光液を塗る、ライター、マッチの火を近づけるなどの方法が言われていますが効果はありません。かえって症状の原因となる唾液を傷口周辺に広げることになるので、やめておいた方がよいでしょう。
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