社会不安障害(SAD)の症状

自分は他人より少し恥ずかしがりの性格である、というような人は何人かいると思いますが、恥ずかしがりの性格というのは徐々にその場や人に慣れていくものです。しかし社会不安障害の人はある一定の状況におかれると強い不安を感じ、その場から立ち去りたい衝動に駆られます。多く見られる症状としてあげられるのが、顔が赤面しほてる、汗が止まらなくなる、呼吸が速くなり息苦しくなる、パニック発作を起こす、というようなものです。
  
このような症状が出る状況はその人によって様々です。人前で話すときにこのような症状が出る人もいますが、会社で電話を受けるときにこのような症状が出る人もいます。また、学校や会社などの試験会場でそのような症状に襲われてしまう人もいます。それはその人にとって、その行動が緊張を伴い、不安や恐怖を強く感じるものであるからです。社会不安障害の人は、このような恐怖や不安を感じることを恐れて、そういった機会を避けるようになってしまいます。そういった場面を避けていってしまうことで引きこもりに繋がってしまう人も見られます。
  
この病気になってしまうと自然に治ることはなく、治療が必要になります。しかし、病院に行くことも躊躇われ、うつ病を合併してしまうケースも多く見られます。この病気には周りのサポートが必要であり、無理強いをせず、少しずつ進んで行くことが大切です。

社会不安障害(SAD)の原因

社会不安障害の原因の1つとして、神経伝達物質(セロトニン)の働きが崩れてしまうことが考えられます。私たちが不安や恐怖、反対に喜びなどを感じるとき、脳内の様々な神経伝達物質が働いています。この神経伝達物質の1つにセロトニンがあります。セロトニンは、不安や恐怖などを感じるための神経伝達物質であるといわれたいます。
  
しかし、このセロトニンの働きが崩れてしまうことで社会不安障害のように必要以上に不安や恐怖を感じるようになってしまうのではないかといわれています。なぜ神経伝達物質の働きが崩れてしまうのかなど、詳しいことや正確なことはまだ分かっていないのが現状です。
  
また、この神経伝達物質の異常の他にも、環境的な要因、遺伝的な要因があるのではないかといわれています。環境的な要因の中には強いストレスや、子どもの頃の人間関係などの要因も含まれています。このような要因が相互的に作用して社会不安障害を引き起こす原因になっていることも考えられます。

社会不安障害(SAD)の予防・治療法

この病気はまだ原因がはっきり分かっていないこともあり、はっきりとした予防法がないのが現実です。ここでは原因から考えられる予防法をあげていきます。
  
社会不安障害の要因の1つに環境的な要因があげられます。その中には子どもの頃の人間関係が含まれています。子どもの頃にたっぷりと周りの大人や家族の愛情を受けて育っていくことが1つの予防になるのではないかと考えられています。人前に出ることが怖くないということ、その1つ1つの状況に必要以上に恐怖や不安を感じなくてもいいということをわかっていくことが大切です。そこには周りから与えられる「安心」があるのではないでしょうか。
 
この病気は一旦かかってしまうと治療が必要になってしまいます。ときには周囲の助けが必要となります。周りにそういう傾向のある人がいて、少しでも「おかしいかな?」と感じたときには叱ったりするのではなく、優しく話を聞いてみることも1つの予防策になるかもしれません。早めに心療内科や精神科を受診をすることで、引きこもりやうつ病などのリスクが減らせると考えられています。