ウィルソン病/先天性銅代謝異常症とは
ウィルソン病とは、肝レンズ核変性症とも呼ばれ、ATP7B遺伝子の異常により胆汁への銅の排出が抑制されることで、体内に銅がたまってしまい、肝硬変・脳のレンズ核と呼ばれる部位の変性・カイザーフライシャー角膜輪と呼ばれる角膜の異常をきたす病気です。多くは15歳頃までの小児に発症する常染色体劣性遺伝性の病気です。その発症率は3万人〜3万5千人に1人といわれています。治療は銅の摂取を抑制し、銅をキレートして排泄する薬を用いることが主になりますが、重症例では肝移植なども検討されます。
ウィルソン病/先天性銅代謝異常症の症状
ウィルソン病症状としては、疲れやすい、黄疸が眼や皮膚にでる、等があげられます。多くは無症状で、血液検査で肝機能の異常を指摘され、発見されることも多いです。肝臓への障害は、治療が施されないでいる場合、肝硬変へと進行していきます。
さらに、脳障害がでることがあり、ろれつが回らない、手先の振動が止まらない、自由に手足をコントロールすることができない等、日常生活に支障をきたすようになり、ついに寝たきりになってしまいます。脳の機能に障害がおよび、計算したり、考えたりする力が落ちていきます。精神疾患が現れることもあります。
さらに、眼に現れる場合もあり、眼の角膜の周囲にオリーブ色の輪が出現します。
以上の症状が、単体かもしくは重複して発症することがあります。
ウィルソン病/先天性銅代謝異常症の原因
ウィルソン病は、体内に取り込まれた銅の排泄プロセスがうまく機能しないことが原因となっておこります。通常、健康な人は、食物により取り入れた銅を肝臓でセルロプラスミンというタンパク質と結合させ、余分な銅を胆汁に排出し、そして体の外へ排泄物と共に出します。しかし、ウィルソン病の患者の場合、取り入れた銅を肝臓でセルロプラスミンと結合させることができません。さらに、余分な銅が胆汁に排出されずに肝臓に、そして腎臓、脳、眼に蓄積していきます。
これらはすべて、遺伝子異常によって引き起こされています。ですが、数多くの遺伝性疾患の中で、ウィルソン病は治療可能な疾患です。
ウィルソン病/先天性銅代謝異常症の治療法
ウィルソン病の予防としては、早期発見がカギとなります。そうすれば、発症前に予防することもでき、発症している場合はその進行を遅らせることができます。治療には、銅の吸収を妨げる薬、銅の排泄を促す薬が使用されます。副作用がでる場合があり、医師による指示のもと服用する必要があります。この薬は生涯飲み続けなければなりません。
また、患者は銅が含まれる食品を極力避けることが勧められています。レバー、イカ、カニ、エビ、納豆、ごま等が銅を多く含みます。調理に使う銅鍋や容器等も避ける必要があります。
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