脊椎カリエスとは
脊椎カリエスとは結核性脊椎炎とも呼ばれる骨関節感染症の一種です。結核菌による脊椎の感染症で、腰椎と胸椎に多く発症します。肺結核や尿路結核に続発し、昭和40年代には多かった病気ですが最近ではずっと少なくなりました。
脊椎カリエスの症状
脊椎カリエス(結核性脊椎炎)の症状は全身と局所のものがあります。全身では、倦怠感や微熱があります。局所では、初期には体動時痛、棘突起の叩打痛を認め、進行すれば、Pottの三徴候といわれる、亀背(後彎変形)、冷腫瘍、脊髄麻痺(Pott麻痺)が認められます。進行は緩徐であることが特徴です。
脊椎カリエスは病変の伸展に伴い合併症を併発します。初期病変は軟骨終板に近い椎体海綿骨に発生します。結核性肉芽は乾酪壊死を起こし、X線像上骨萎縮像を呈します。さらに結核性肉芽や膿は椎体前方の薄い皮質骨を破って前縦靭帯の下面に広がります。病変は隣接椎体にもおよび、椎体終板の一部も侵されて椎間板の高さが減少いていくようになります。
脊椎カリエスの原因
脊椎カリエスの原因は結核菌の脊椎への感染です。肺結核の減少とともに、疾患の発生数も減少しています。結核全盛期には若齢者に多発していましたが、現在では肺結核とともに高齢者に多く発生しています。
発症原因は血行性に結核菌が椎骨へ移動し、軟骨終板に近い椎体海綿骨で感染が始まる事によります。結核性肉芽が椎体の皮質骨を貫き、感染は前・後縦靭帯に沿って上下に拡大し、腫瘍が形成されます。さらに進行すると椎体は楔状に圧潰し、亀背となります。胸椎へ罹患した場合、椎体の両側に膨隆する傍脊柱腫瘍が見られ、腰椎罹患では腫瘍が腰筋に沿って膿瘍を生じ、腰筋陰影も非対称に膨隆します。
治癒期には罹患した椎体は癒合して塊椎を形成します。骨腫瘍や癌の転移でも椎体の破壊を示しますが、椎間板腔は保たれている点が脊椎カリエスとは異なります。
脊椎カリエスの治療法
脊椎カリエスの予防方法は、結核菌を予防する事、また、結核感染後の早期治療になります。空気感染をする結核菌に対しては、確実な検査と診断による集団感染の予防が必要となります。
結核の診断方法は、これまでツベルクリン反応が唯一の検査方法でした。ツベルクリン反応はBCGワクチン接種者においても陽性となるため、感染診断の特異度は低く、この問題を解決するため全血インターフェロンγ応答測定法(クオンティフェロン)が開発され、保険適用も認められています。
結核に感染した場合、抗結核薬を多剤が併用による治療が行われます。
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