強直性脊椎炎とは
強直性脊椎炎は、脊椎や骨盤の炎症から、徐々に脊椎が骨性に固まって動かなくなる(強直する)という特徴を持っています。HLA-B27というタイプの白血球型を持っている方の約10%に発症するという調査がありますが、日本人にはまれな型です。40歳以下の男性に多いとされています。腰痛のほか、体を曲げたり、背中をそる動きがしずらくなるという症状がでます。眼(ブドウ膜炎、虹彩炎)や皮膚(乾癬)、腸(クローン病、潰瘍性大腸炎)に合併症を引き起こすこともあります。
強直性脊椎炎の症状
強直性脊椎炎の症状は、大きく分けて全身、骨格、骨格外に分けられます。全身に見られるものは、体重減少、食欲不振、疲労感、発熱、貧血などで、骨格においては徐々にもしくは突然、腰背部痛が現れ、その特徴は長い安静後悪化し、動いているうちに改善します。また靭帯付着部炎を引き起こしていると関節内外に骨の圧痛を感じます。股関節や肩関節など痛みや運動制限が起こることもあります。胸部に起こる関節炎により胸隔を十分拡張できないことに気づくこともあります。この症状が進行すると最終的に強直となり前屈が困難になります。
骨格外として、眼に現れる急性虹彩炎、大動脈弁閉鎖不全を併発することもあり、稀に脊椎骨折や頚椎骨折・亜脱臼による神経症状を起こしたりします。
強直性脊椎炎の原因
強直性脊椎炎の原因は未だに明らかにされていませんが、リウマトイド因子が陰性の関節疾患であることから、近年HLA-B27という白血球の型に高確率で見られることが明らかになってきました。日本でHLA-B27の型を持つ人は0.1~0.5%程度です。しかしこの病気を発症した患者さんの80~90%以上の人がHLA-B27の陽性反応を示すことから、何らかの因果関係があるのではないかと考えられています。
また男性より女性の発症率が高いです。近親者に羅患がある場合、10~20倍の頻度で発症するので遺伝的素因があると言う説もありますが、一卵性双生児の合致率は約50%であるため環境要因が寄与するという説の方が強く示唆されます。
強直性脊椎炎の治療法
強直性脊椎炎は炎症が発症する期間と全く症状のない期間が交互に生じることで判別され、完治することはあまりないため、これ以上症状を進行させないような予防が大切になります。症状を最小限に抑えることで日常生活に支障をきたさず障害のほとんどない生活を送ることができます。ただし抵抗性ぶどう膜炎と続発性アミロイドーシスのある患者さんの場合は、症状が進行するケースが多いです。
いずれにせよ症状が悪化しないよう関節の炎症による痛みや筋肉けいれんを軽減しながら、脊椎が強直しないよう適度な運動をし、関節の可動域を維持、増大することが大切です。この治療にステロイド剤などの投与します。辞める場合は数ヶ月経過し兆候が抑制されたことが診断されたら徐々に試した方が良いとされます。
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