骨腫瘍とは
骨腫瘍は骨や軟骨などに由来する原発性骨腫瘍と多臓器のがんが骨に転移した転移性骨腫瘍に大きく分けられます。原発性骨腫瘍には、良性の骨軟骨腫や内軟骨腫もありますし、悪性の骨肉腫・軟骨肉腫・ユーイング肉腫などもあります。悪性原発性骨腫瘍は100万人当たり年間4人程度と頻度は少ないものの、骨肉腫は10代に多いなどほかの悪性腫瘍に比べ若くして発症することが多いのが特徴です。治療は手術療法や化学療法、放射線療法が病名や病期に合わせて行われます。
骨腫瘍の症状
骨腫瘍の特徴的な症状としては、患部の痛みがあります。腫瘍の広がり、境界部における反応性骨形成があります。
単純X線像では腫瘍の境界が明瞭かつ腫瘍周囲の反応性骨硬化が強い場合、地図上の浸潤像を示す場合には一般には良性か低悪性度の腫瘍とされています。逆に、浸潤性で境界不鮮明な陰影(浸潤像、虫食い像)を示すのは悪性が多くなっています。
また、特徴的な症状として他に骨膜反応があります。骨内に発生した骨腫瘍が骨皮質を破壊し、骨膜を刺激することによって骨膜反応が出現します。腫瘍の悪性度の違いによって出現する骨膜反応の対応が異なり、大きく4つのタイプに分類されます。その分類は、1層の厚い骨膜反応、Codman三角、スピクラ、玉ねぎ様骨膜反応などがあります。
骨腫瘍の原因
骨腫瘍の発生由来を特定するためにはX線学的補助診断が必要となります。血管造影を行うことで、悪性骨腫瘍では栄養動脈の拡張、新生血管の増多と不規則分岐、血液プールの形成などが見られます。CTでは水平横断面の骨変化を明瞭に描出することができ、腫瘍の局在、拡がり、骨皮質破壊像、軟部組織への浸潤の程度をとらえる事ができます。MRIでは組織特異性や組織内血流の多少を観察することができます。その他に、病理学的組織検査や血液生化学的検査も原因特定の材料となります。血清カルシウムは骨破壊と脱灰の強い場合には上昇し、血清アルカリフォスファターゼ(ALP)は反応性の新生骨形成が著明な場合に上昇します。他、遺伝子検査なども利用され、Ewing肉腫では特徴的な染色体転座が原因である事が知られています。
骨腫瘍の治療法
骨腫瘍の治療には手術療法が広く行われています。手術後に再発の予防としてさらに化学療法(抗癌薬治療)が行われる場合もあります。最近は術前と術後に化学療法を行う新補助的化学療法が行われる場合が多くなっています。目的として、すでに存在する微少転移巣を術前に撲滅する、原発巣の縮小化を図る、抗癌薬の有効性を術前に評価しておき、術後化学療法の薬剤の選択の参考にする、などがあります。術後の化学療法は、手術後に取り残された腫瘍あるいは体内に残存している可能性のある腫瘍細胞を撲滅する目的で行われています。代表的プロトコールとしては骨肉腫に対するRosenのT12プロトコールやNECO95Jプロトコールなどがあります。
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