低置胎盤の症状

診断は、超音波検査で行われます。妊娠の早い時期に低置胎盤と診断されていても、妊娠が進んで子宮が大きくなると徐々に胎盤が上に上がり、妊娠後期に入り最終的には低置胎盤ではなくなる例が多くあります。
妊娠中は症状がほとんどありませんが、胎盤の端が内子宮口から近いほど、分娩時での出血が多くなり、距離が0~2cmの低置胎盤では、それ以上離れているときの1.5倍の出血量が考えられます。
そのほかには、胎盤が下の方にあるために、分娩時において胎児の頭の進行を妨げることになり、分娩の時間がかかる場合や帝王切開になる場合もあります。また、大量の出血を伴った場合では、胎児に仮死などの重大な影響を与えてしまう場合があります。

低置胎盤の原因

低置胎盤の原因は、胎盤の付着する場所の異常とされていますが、まだはっきりとはしていません。しかし、流産手術などにより子宮の内膜が傷ついてしまったり、炎症が起きると低置胎盤も起こりやすくなると考えられています。そのほかには、高齢妊娠、喫煙、経産婦、多胎妊娠、帝王切開の既往、人工妊娠中絶術の既往、その他子宮手術の既往などが原因として考えられています。
近年では、妊娠の高齢化や不妊治療の普及、帝王切開分娩の増加などにより、低置胎盤の頻度も増加の傾向にあります。特に帝王切開での分娩の頻度が増すごとに、合併症といわれる癒着胎盤(胎盤が母体の子宮に癒着をして分娩時に剥離が困難になる疾患)の発生率も上昇する事が知られています。

低置胎盤の治療法

低置胎盤では、妊娠中には出血することも稀にあるために、基本的には安静にして無理な運動や性交渉などは控えることを心がけましょう。もし、妊娠中に出血が認められたときには、すぐに産婦人科を受診し、場合によっては緊急入院になることがあります。入院時には安静にして、子宮収縮抑制剤と止血剤を使用して、胎児が体外生活の可能な時期まで待って分娩を行います。
出産は、帝王切開の場合が多くなります。しかし、帝王切開の予定より前であっても、出血が起こった場合や赤ちゃんの発育の具合により緊急帝王切開を行うことがあります。
出血が大量になると、赤ちゃんだけではなく、お母さんの生命に危険が及ぶこともあり、出血がとまらず危険と判断された場合には、子宮を摘出することがあります。