慢性硬膜下血腫とは
慢性硬膜下血腫とは、頭蓋骨の内側にある、硬膜という膜と脳の間に血液が貯留し血腫を形成する病気です。 一般的には頭部の外傷後2週間〜3ヶ月経過後に麻痺、尿失禁、歩行障害、ずつなどの症状が現れます。高齢者では軽度の転倒後でも発症することがあるので、注意が必要です。治療には血腫を取り除く処置が行われます。
慢性硬膜下血腫の症状
慢性硬膜下血腫の臨床症状としては、まず、血腫による脳の圧迫のため頭痛、嘔吐感、手足の麻痺などの異常が現れ始めます。血腫増大に伴い脳圧が亢進するにつれ、失語や知能障害、歩行障害、意識障害などが起こり、放置した場合は死に至ります。高齢者に発症した場合、健忘や手足の機能障害、尿失禁など認知症の類似症状が徐々に発現するため、判別しにくい場合があります。
負傷直後には特段の異状はなく、一定の無症状期間を経過後に慢性硬膜下血腫の臨床症状が徐々に現れるため、負傷から約1月後にCTやMRIなどで脳を撮影し、血腫の有無や左右の脳の形状が差異などをもとに診断されます。
慢性硬膜下血腫の原因
慢性硬膜下血腫の原因は、一般に頭部外傷によるとされ、頭蓋骨内側の硬膜とくも膜の間の硬膜下に脳と硬膜を繋ぐ橋静脈から出血した血液が貯留し、徐々に被膜を持つ血腫を形成するといわれています。特に頭部の前側,左右側頭,頭頂部に好発して、一側性のことも両側性のこともあります。1年間に人口10万人に1~2人の割合で発生しており、比較的男性や、中年以上で飲酒量が多い人などに起こりやすいとされています。
また、乳児も起こりやすいといえます。
覚えがないほど些細な頭部外傷に起因する場合もあり、原因や症状の発現時期がはっきりしない場合があるのも慢性硬膜下血腫の特徴です。
慢性硬膜下血腫の治療法
慢性硬膜下血腫の治療は、臨床症状出現後の検査で血腫が発見され、血腫を取り除く手術を行うことが基本です。重症化予防としては、外傷を負った直後に脳の検査を行い脳の萎縮具合や硬膜下のスペースの広さを確認し、血腫の貯留をいち早く診断することで手術の回避につながる場合があります。また、血腫の再発予防も重要です。心疾患や脳血管疾患の既往歴を持ち抗凝固剤や抗血小板剤などの抗血栓薬を服用している場合は、出血をコントロールする治療や投薬が必要となります。
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