多発性筋炎とは
多発性筋炎は、全身の骨格筋や心筋に炎症が起きる病気です。自己免疫疾患の1つと考えられていて、身体に力が入りにくくなったり、のみ込みが悪くなったり、筋肉に痛みを感じたりします。女性に多い病気で、採血で筋肉が壊れて出る値が上昇し、抗Jo-1抗体と呼ばれる自己抗体が上がるのが特徴的とされています。
多発性筋炎の症状
多発性筋炎は最初は自覚症状が少なく、症状は徐々に出現します。全身症状として、倦怠感、疲労感、食欲不振などがあります。筋肉の症状はほとんどの場合で見られ、筋力が低下し力が入りにくくなります。特に、太もも、上腕、首などの筋肉に症状が出やすく、立ち上がる、階段を上る、物を持ちあげる、頭を持ち上げるなど、日常生活に支障が生じます。重症になると、物が飲み込めない、立てない、話すのが困難になる、などの症状が出ることもあります。
ヘリオトロープ疹(まぶたが紫紅色に腫れる)やゴッドロン徴候(指や肘・膝の関節の外側がかさかさした紅斑ができる)などの皮膚症状がある場合は、皮膚筋炎と呼ばれています。
多発性筋炎の原因
免疫は、ウイルスや細菌などの病原微生物などを攻撃・排除する身を守るための防御システムです。しかし、自分の体の正常な細胞や組織を異物と認識し攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。多発性筋炎は、筋肉や皮膚などを異物と判断して攻撃する、つまり自分の体の組織に対して抗体を作ってしまうことが原因です。なぜ自己免疫が起こるのかはわかっていませんが、今のところ多因子遺伝性疾患(複数の遺伝子の変異による疾患)であると考えられています。遺伝因子に、ストレス、感染症、喫煙、ホルモンの影響、放射線などの外的環境要因が加わって発症すると考えられています。
多発性筋炎の治療法
多発性筋炎の予防方法は確立されていません。しかし、発症から治療までの期間が長くなると予後が悪くなるため、早めの治療が大切です。筋肉症状が現れるのは非常にゆっくりなので、力が入りにくい、腕や足や頭を持ち上げにくいなどの異変を感じたら早めに受診し、膠原病の専門医に相談するとよいです。多発性筋炎の注意すべき合併症としては、間質性肺炎(自己免疫が肺を攻撃する)と悪性腫瘍です。特に悪性腫瘍は、40歳以上で皮膚筋炎を発症した場合に比較的高い割合で合併するため注意が必要です。
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