胞状奇胎とは
胞状奇胎とは、受精卵から胎盤をつくるはずの絨毛組織が異常に発育増殖して、絨毛が嚢胞状に変化する、異常妊娠のひとつです。染色体異常が原因となります。
胞状奇胎の症状
症状としては、不正出血にはじまり、重いつわりと切迫流産の症状が見られます。通常、切迫流産の症状が見られるときは、ホルモンの関係で、つわり症状は弱まります。しかし、胞状奇胎の場合、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠ホルモンの値が正常妊娠よりも高くなります。そのため、強いつわりと同時に、不正出血・腹痛などの切迫流産の症状や、高血圧・蛋白尿などの妊娠中毒症の症状が現れます。その他にも、妊娠週数に比べて子宮が大きくやわらかい、超音波検査で多くの粒状陰影が見られる、尿中のhCG値が異常に高いなどの医学的所見が認められます。
胞状奇胎の原因
胞状奇胎は、受精卵の絨毛細胞だけが異常増殖することによって起こります。原因は明確ではないですが、以下のことが考えられています。
・染色体異常
・受精の際、卵子一つに精子が二つ侵入
・受精時に卵子の核が消失し、精子の核のみが異常増殖
高齢妊娠でもリスクが高くなります。
なお、胎芽(胎児)が発育せず絨毛部分だけが異常増殖したものを「全胞状奇胎」、絨毛部分が増殖しながら胎芽部分の発育も認められる場合は「部分胞状奇胎」といいます。また、奇胎化した絨毛組織が子宮の筋肉層に入りこむものを「侵入胞状奇胎」といいます。全胞状奇胎では胎児は存在しませんが、部分胞状奇胎では胎児が異常なく育つことがあります。侵入胞状奇胎を除き、奇胎自体は悪い疾患ではありません。
胞状奇胎の治療法
胞状奇胎は、妊娠性疾患のため、妊娠発覚後、定期的に診察を受け、早期発見に努めます。なお、絨毛は増殖能力が高い組織であり、子宮以外のさまざまな所へ転移する可能性があります。そのため、胎状奇胎治療後も他の臓器に転移がないかどうか、ホルモン値や基礎体温が正常値であるか、経過観察が必要です。また、経過が順調であっても、術後、次の妊娠までは、再発防止のために半年から1年の避妊が必要になります。
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