成人T細胞性白血病とは
成人T細胞性白血病は、HTLV-Iに感染したキャリアのうち生涯で5-10%に発症する白血病です。日本国内ではHTLV-1の感染者の多い九州地方や九州地方出身の人に多いのが特徴です。病型には急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4タイプが存在します。
成人T細胞性白血病の症状
成人T細胞性白血病では、免疫担当細胞であるT細胞が癌化するため、各種免疫不全の症状が見られ、真菌やウイルスなどによる日和見感染などが良く見られます。また、肝臓や脾臓の肥大化、皮下腫瘤や皮膚紅斑、全身のリンパ節の腫れ、脾腫のほか、腹痛なども症状として現れます。
病状が進行すると、血中カルシウム濃度が上昇することで高カルシウム血症となり、全身の倦怠感や便秘、頻脈、更には意識障害なども引き起こします。また、免疫能力の低下は、消化管感染症、汎発性帯状疱疹、網膜炎、髄膜炎、アスペルギルス症やカンジダ症、クリプトコッカス肺炎などを引き起こしやすくします。その他、低蛋白血症や肝機能障害も多く見られるほか、白血病化する場合もあるなど、多くの病気を引き起こしやすくなります。
成人T細胞性白血病の原因
成人T細胞性白血病は、HTLV-I(Human T-cell leukemia virus type I)いわゆるヒトT細胞白血病ウイルス1型に感染することが原因です。日本全国には約100万人のHTLV-Iキャリアがいるとされ、そのうち年間700人程度が発症しています。感染ルートは輸血・性交・授乳とされ、出産時に感染する例もあります。
性交による感染の場合、精液内のリンパ球が原因であるため、男性から女性への感染に限られます。また、授乳による感染では、母から子への授乳をやめることで感染を防ぐことが可能ですが、母乳を与え続けた場合は、20%程度の確率で子供に感染するとされています。
日本国内においては、感染者の多くが九州と沖縄に偏っており、東京都の感染率が700人に1人の割合であるのに対し、鹿児島県では50人に1人となっています。
成人T細胞性白血病の治療法
成人T細胞性白血病は、キャリアからの感染を避けることが第一となります。特に、成人T細胞性白血病を発症する人のほとんどが、幼児期に母親から感染したキャリアであるため、母乳からの感染を予防することが必須とされます。感染を防ぐため、授乳が必要な乳児を持つ母親が、検査の結果キャリアと判明した場合は、授乳をやめミルクなど人工的に栄養を与えるようにします。
また、出産時の感染を予防するため、キャリアを持つ母親の出産は、出産時間が長引かないよう計画的な帝王切開出産を行う方法もあります。
この他、不特定多数との性交渉を避ける、コンドームを着用するなど、感染予防が中心となります。
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