二分脊椎の症状

嚢胞性二分脊椎と潜在性二分脊椎に共通する症状としては、下肢の運動・知覚麻痺及び変形、膀胱直腸障害があり、その他の症状には差異があります。
嚢胞性は出生前から超音波検査で診断可能であり、出生後48時間以内に髄液感染を予防するため脊髄髄膜瘤の閉鎖手術を行います。多くの場合、水頭症、けいれん、キアリ奇形、股関節脱臼、学習障害などの症状や合併症を伴います。
潜在性では脊髄係留症候群や脊髄脂肪腫といった疾患を持つことが多く、運動・膀胱機能障害予防のため生後数ヶ月のうちに脊髄係留解除手術を行います。神経障害や皮膚異常が生じることもあります。

二分脊椎の原因

二分脊椎は神経管閉鎖障害を伴う先天性疾患です。主要な原因は、胎内での発生過程で同じ外胚葉から分化する神経組織と皮膚に何らかの理由で分離障害が起き、形成不全となるためとされています。まったく分離しない場合は脊髄髄膜瘤を生じる嚢胞性二分脊椎となり、分離が不完全な場合は潜在性二分脊椎となります。
発生過程における分離障害の原因には次のものがあげられます。
・葉酸の欠乏
・抗痙攣薬、糖尿病の治療薬等の服用
・妊娠前期における高熱
・放射能被曝
・ビタミンAの過多
・遺伝
嚢胞性二分脊椎に水頭症やキアリ奇形を併発する原因は、脊髄髄膜瘤周辺から髄液が漏出するためと考えられます。

二分脊椎の治療法

二分脊椎は、胎児の発生過程で脊髄と皮膚が分離できずにおこる先天性奇形ですが、英国の試験で妊娠前及び妊娠前期における葉酸摂取が発症を減少させることが証明され、欧米などでは葉酸サプリメントの摂取が推進され、発生率が急速に減少しています。
日本でも厚生労働省が胎児の二分脊椎予防のため葉酸摂取を勧告し、母子手帳にも記載されていますが、妊娠が確定し手帳を交付されるころには脊髄の形成が終わっており、この期間の葉酸の摂取率は低率のままです。そのため、適切な情報提供などによる葉酸摂取率向上が今後の課題です。