溶血性貧血とは
骨髄で生成された赤血球は約120日で肝臓や脾臓で分解され死滅します。溶血性貧血は、赤血球が寿命を待たずに次々と破壊され、新しい赤血球の生成が追いつかなくなるために起こる貧血です。鉄欠乏症貧血に比べて頻度は少ない病気です。原因は遺伝的なもの、免疫の異常によるものが多いです。
溶血性貧血の症状
溶血性貧血は、動悸、息切れ、倦怠感、めまいなど、一般的な貧血の症状の他に、黄疸があらわれるのが特徴です。赤血球が破壊され、ビリルビンというヘモグロビンの分解代謝物が血液中に増えることが原因です。ビリルビンは尿中にも排泄されるため、尿の色が濃くなり、ひどくなると赤褐色の尿が出ることもあります。
貧血の症状や黄疸は徐々に現れることもあれば、急激に現れることもあります。急激に現れた場合は、発熱や腹痛・吐き気・嘔吐がみられることもあります。また、脾臓で処理する赤血球の量が増えて負担がかかり、脾臓が腫れたり胆石が生じたりすることもあります。
溶血性貧血の原因
溶血性貧血の原因は、先天性の場合と後天性の場合とがあります。8割以上が後天性の原因です。先天性の原因としては、染色体優位遺伝性で先天的に赤血球が球形である赤血球膜異常症(遺伝性球状赤血球症)がもっとも多く、先天性溶解性貧血の約6~7割を占めます。
後天性の原因で最も頻度が高いものは自己免疫性溶血性貧血です。自己免疫疾患の1つで、何らかの原因で自分の赤血球を異物とみなして攻撃し、赤血球を破壊してしまいます。その他後天性の原因として、発作性夜間ヘモグロビン尿症、不適合輸血、薬剤の副作用やウイルスなど感染症などがあります。
溶血性貧血の治療法
溶血性貧血は大部分が自己免疫疾患と先天性の原因によるものなので予防は困難です。鉄欠乏性貧血は鉄分を多く含む食事を摂ることで改善されますが、溶血性貧血は投薬などによる治療が必要になってきます。血液検査で容易に診断できるので、気になる症状が現れた場合は早めに医師に相談することが大切です。
溶血性貧血の治療は、副腎皮質ステロイドホルモン薬の投与が有効です。その他補助的に免疫抑制剤を投与する場合や、先天性で重症の場合は脾臓の摘出手術をおこなう場合もあります。
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