フェニルケトン尿症の症状

誕生したばかりのときには、この疾患は症状は認められません。しかし、生後3か月から4か月を迎える頃になると、体内に蓄積されたフェニルアラニンによって、フェニルケトン尿症の症状が確認されるようになります。
 
フェニルケトン尿症の主な症状には、
・脳に重大な障害を生じさせ、知能障害を引き起こす
・脳波に問題を生じさせるようになる
・けいれんを引き起こす
などがあります。
  
また、身体にため込まれたフェニルアラニンが、メラニンの生成を抑止してしまうため、放置してしまうと、赤茶色の毛髪や、極端に白い肌色などの症状を現すようになります。

フェニルケトン尿症の原因

通常、必須アミノ酸の一つであるフェニルアラニンは、体内においてチロシンという成分に変わって行きます。
  
しかし、フェニルケトン尿症の罹患者は、この現象を助けるためのフェニルアラニン水酸化酵素が遺伝的な要因で欠けてしまっています。そのため、フェニルアラニンが代謝されない症状を現すようになり、蓄積されたものが尿の中に混ざって排出されるようになるのです。
  
日本国内においては、おおよそ8万人に1人が、フェニルケトン尿症を持って生まれています。身体に多くのフェニルアラニンを溜めこみ過ぎない工夫として、食事療養などが行われます。

フェニルケトン尿症の治療法

フェニルケトン尿症には、予防方法は特にありません。しかし、新生児誕生後に行われる、新生児マススクリーニングによって、この疾病の有無を、おおむね特定することが可能となっています。
  
フェニルケトン尿症への罹患が分かった場合には、フェニルアラニンを多く含む食材などを制限する食事療法が主に行われ、テトラヒドロビオプテリンの投与によって、症状の緩和が期待できる場合には投薬治療も併せて行います。
  
早期の段階で治療を開始することによって、神経症状を引き起こすことをある程度防ぐことが可能です。