後天性心疾患とは
後天性心疾患とは、生まれつきの心疾患である「先天性心疾患」に対して、出生後にかかる心疾患のことをいいます。後天性心疾患には、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患、心筋症・不整脈・心臓の弁の異常、川崎病の合併症として起こる「川崎病心血管後遺症」等があり、成人では冠動脈疾患が大多数を占めています。
後天性心疾患の症状
後天性心疾患の症状は、痛み、息切れ、不規則な動悸、失神、下半身のむくみ、疲労感等があります。症状によっては心疾患以外の原因で起きるものもあるため、早期発見のためには注意深く観察することが必要です。症状の中でも「痛み」は後天性心疾患の場合特徴的です。心疾患で痛みが起きる理由は1.酸素供給不足による筋肉の痙攣
2.動脈瘤の解離
3.僧帽弁の逸脱
ですが、1においては全く痛みを感じないケースもあり、これを「無症候性心筋虚血」と呼んでいます。深呼吸をした時に悪化する痛みは心膜炎と胸膜炎の両方で生じますが、心膜の炎症の場合は、横になっても悪化し、身体を起こしたり、前かがみになったりすると楽になるという特性があります。
後天性心疾患の原因
大人の後天性心疾患では、「動脈硬化」が原因の冠動脈疾患の割合が多くなっています。動脈硬化は食生活等生活習慣の影響が大きい症状ですが、家族性脂質異常症の場合はその限りではありません。冠動脈疾患自体も遺伝性があると考えられており、さらに男性よりも女性のほうがかかる確率が高くなっています。一方小児の冠動脈疾患は、川崎病の合併症による罹患がほとんどです。川崎病では血管に炎症が起きますが、この際冠動脈に起きた炎症が原因で冠動脈瘤ができてしまうと、冠動脈疾患につながります。弁膜症の原因にはリウマチの後遺症や加齢、大動脈の疾患、突発的に起こる弁の逸脱があります。また、心筋症という病名は、原因不明の心筋異常に対して使われます。
後天性心疾患の治療法
後天性心疾患のうち大人の冠動脈疾患の予防については、危険因子をできるだけ排除することが有効です。加齢や性別、遺伝的要素は対処することはできませんが、喫煙、肥満、高悪玉コレステロールといった要因は対処可能です。後天性心疾患の治療は投薬、手術、生活習慣の改善によって行なわれますが、虚血性心疾患の場合は初めにカテーテル治療を試みるのが普通です。
また心臓手術には、バイパス術、人工血管置換、人工弁置換や弁形成等がありますが、従来の人工心肺を使用した術式の他、脳梗塞の副作用を避ける目的での心拍動下での手術もケースによっては行なわれています。
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