急性糸球体腎炎とは
急性糸球体腎炎はA群β溶連菌による先行感染から1〜3週間の潜伏期間ののちに血尿や蛋白尿、浮腫、高血圧がみられる疾患です。3〜10歳に好発し、急性腎炎症候群を呈することが多いのが特徴です。病理初見としては多くが管内増殖性糸球体腎炎を示します。
急性糸球体腎炎の症状
急性糸球体腎炎の症状としては、A群β溶連菌による先行感染から10日~2週間後に眼瞼浮腫、高血圧、乏尿がみられます。尿検査では肉眼的血尿あるいは顕微鏡的血尿及び蛋白尿がみとめられ、尿沈渣にて赤血球円柱や顆粒円柱をみとめます。血液検査ではCH50、C3血清補体価の低下がみられ、ASOの上昇、ASKの上昇もみられます。
また、咽頭粘膜から採取された組織の培養検査でA群β溶連菌がみとめられれば溶連菌感染後糸球体腎炎が疑われます。溶連菌感染後糸球体腎炎とは急性糸球体腎炎の代表的疾患で90%以上を占めます。
急性糸球体腎炎の典型的な症状は眼瞼浮腫と高血圧、血尿、蛋白尿ですが、他の腎疾患ではないことを確かなものとするため腎生検を行うことがあります。
急性糸球体腎炎の原因
急性糸球体腎炎はA群β溶連菌の先行感染が契機となります。A群β溶連菌由来の抗原が感染局所から血中に放出され、糸球体メサンギウム領域と循環血液中で形成された免疫複合体が糸球体に沈着することで糸球体障害が引き起こされます。咽頭炎や扁桃炎などの上気道感染を先行感染とすることが多く、その10日~2週間後に発症します。機序としてはまず溶連菌感染により咽頭炎や扁桃炎が起こります。その後、血中に菌由来の腎炎惹起性抗原が放出され、糸球体に抗原が沈着し免疫複合体となると同時に、抗原特異的な抗体が産生されます。抗体は血中で免疫複合体となり、結果的に2つの経路で免疫複合体ができることとなり糸球体でⅢ型アレルギーが引き起こされます。
急性糸球体腎炎の治療法
急性糸球体腎炎のうち80~90%がA群β溶連菌を病因とする溶連菌感染後急性糸球体腎炎で、その他の病因としては肺炎球菌や肺炎桿菌、ブドウ球菌などの細菌、風疹、麻疹、ムンプス、インフルエンザなどのウイルス、マラリア、トキソプラズマなどの寄生虫にる感染があるといわれています。従ってそれぞれの病因に応じた治療が必要となりますが、A群β溶連菌が原因の場合は抗生物質で治療を行います。炎症を速やかに最小限に抑え、急性期は安静、食事療法、体液管理が重要となってきます。
溶連菌除去のための抗菌薬はペニシリン系またはマクロライド系を用い、症状に応じてループ利尿薬やCa拮抗薬で体液管理をします。食事療法としては食塩摂取制限、低蛋白食が行われます。
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