脊髄性/進行性筋萎縮症とは
脊髄性(進行性)筋萎縮症は、運動ニューロン病に属する、全身の筋肉の筋力の低下と萎縮が進行する病気です。運動ニューロン病とは、運動神経細胞の変性を起こす病気のことを指します。運動ニューロン病の中でも、下位運動ニューロンのみの障害が起こるものを、脊髄性(進行性)筋萎縮症と呼びます。
脊髄性/進行性筋萎縮症の症状
脊髄性(進行性)筋萎縮症は、身体全体のあらゆる筋肉の筋力低下と萎縮が認められます。また、深部腱反射という、人体に見られる生理的な反射が、弱くなったり消失することもあります。病名に進行性と付いてることからも分かるように、症状は進行していきます。発症の年齢によって、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型に分けられます。Ⅰ型は生まれて直ぐに筋力の低下が認められます。生後1年経たない内に95%、4歳になるまでに100%の割合で呼吸不全により命を落とします。Ⅱ型は、生後6から15ヶ月で筋力の低下が認められ、3歳までに車いすの生活となってしまうことがあります。Ⅲ型は、15から19歳で筋力の低下が始まり、Ⅰ型、Ⅱ型のように早期に亡くなることはありませんが、進行はゆっくりですが進んでいきます。Ⅳ型は、30から60歳で発症し、徐々に進行していきます。
脊髄性/進行性筋萎縮症の原因
脊髄性(進行性)筋萎縮症は、遺伝により発症することがわかっています。運動神経細胞生存(survival motor neuron)という遺伝子が原因遺伝子となります。運動神経細胞生存は通常、略してSMN遺伝子と呼ばれます。SMN遺伝子は、遺伝子変異を起こし、SMA(脊髄性(進行性)筋萎縮症)遺伝子となることがあります。父親、母親共に、遺伝子変異を起こした場合に限り、SMA遺伝子となり、症状が現れます。
両親、どちらか一方だけが変異をしている場合には、子どもに筋力低下などの症状が出ることは一生ないとされています。しかし、そのような子どもは保因者と呼ばれ、保因者同士が結婚して子どもが生まれると、約25%の割合で脊髄性(進行性)筋萎縮症を発症すると言われています。
脊髄性/進行性筋萎縮症の治療法
今のところ、根本的な治療法はまだありません。有効な治療薬の開発が求められている状態です。Ⅰ型やⅡ型の乳児の場合、吸ったり飲み込んだりする力が低下してしまうため、母乳を飲むことさえ難しくなります。その為、チューブを通して胃に栄養を送り込む必要がでてきます。また、筋力低下を防ぐリハビリも必要です。Ⅲ型、Ⅳ型の場合は、筋力の低下を防いで出来るだけ歩ける期間を延ばすためにリハビリを行いつつ、歩行を助ける器具を使用することもあります。
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