弛緩出血とは
弛緩出血とは、分娩の後に胎盤娩出をした後にも、子宮が十分に収縮しないために、胎盤がはがれた部分や子宮静脈洞からの出血が続き大出血をきたすものをいいます。分娩に時間がかかったり、逆に、短時間で急速に分娩が終了した場合、子宮内に胎盤の一部や血塊が残ったときなどに起こりやすいと言われています。分娩中と分娩後2時間の間に出血量が500mlを超える場合には、分娩時出血多量と判断されますが、この背景には弛緩出血があることが多いと言われています。
弛緩出血の症状
弛緩出血は、出産後に胎盤を娩出した後に、大量の出血を起こす事です。出血の仕方は、持続的に出る場合と間欠的に起こる場合があります。また、出血は突発的に始まる事もありますが、少しずつ始まる事もあり、出血の仕方については個人差が大きいと言えます。大量出血により子宮腔内に血液が溜まってしまうと、子宮底が上昇することにより、ショック症状を引き起こす可能性もあります。
分娩時出血多量と判断される、出血量500mlを超える場合に、弛緩出血が起こっている可能性が高くなると言われています。
弛緩出血の原因
弛緩出血には、様々な原因が考えられます。多胎妊娠や巨大児、また羊水過多などによる子宮筋の強い伸展、子宮収縮薬の長時間に渡る投与、長時間に渡る分娩による母体の疲労、短時間で急速に分娩が終了すること、子宮筋腫、子宮奇形、膀胱や直腸の充満、子宮筋弛緩薬の投与、前置胎盤など、原因は多岐に渡ります。これらの原因により、子宮筋の収縮が起こらないため、胎盤娩出後も胎盤が剥離した部分の血管から出血が続き、大量出血の症状が現れます。
弛緩出血の治療法
弛緩出血は、場合によっては下腹部マッサージや冷やすことで、子宮筋が収縮し、出血が止まることがあります。しかし、それだけでは止まらないことも多く、その場合には、子宮収縮剤を注射で静脈や子宮筋に注入する事や、強く子宮を圧迫する双手圧迫法の必要も出てきます。また、尿道や子宮底の摩擦により、子宮の収縮を試みることもあります。大量に出血してしまった場合には、輸血が行われます。また、感染防止のために抗生剤が投与されることもあるでしょう。
これらの治療を行っても効果が見られない場合には、子宮全摘除や膣上部切断術などの手術が行われます。
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