子宮内胎児発育遅延の症状

子宮内の胎児の成長には、妊娠週数に応じて成長度合の目安があります。子宮内胎児発育遅延は、この基準から著しく成長が遅れている状態のことです。具体的には、全新生児から導き出された体重の成長曲線において10パーセンタイル以下に含まれる場合、この診断が下ります。
  
発育遅延の出方には3種類あります。
・体重、身長、頭囲がすべて妊娠週数のわりに小さいタイプ
・身長・頭囲は基準内ですが体重のみ小さいタイプ
・上2つの中間のタイプ
  
こうした症状がある場合、陣痛に耐えることができず胎児仮死や新生児仮死になりやすくなります。なお、子宮内胎児発育遅延は全妊娠の5%程度に見られます。

子宮内胎児発育遅延の原因

子宮内胎児発育遅延の原因は、低栄養と胎児側要因とに大別できます。体重、身長、頭囲がすべて一様に小さいタイプでは、染色体異常や先天奇異などの要因が考えられます。また、母体の喫煙からもこうした症状が起きやすいです。
  
一方、体重のみが小さいタイプでは、子宮内の栄養不足が原因となります。母体が糖尿病や腎疾患などを抱えていたり、子宮や胎盤に機能異常がある場合に栄養不良が発生します。双方の中間のタイプについては、母体の影響失調や薬物による影響が考えられます。

子宮内胎児発育遅延の治療法

診断は、超音波診断によってなされます。診断後は、胎児の発育度合や健康状態を定期的に観察していくことになります。
  
栄養不良が原因の場合には、食事療法や栄養点滴などの方法をとることが一般的です。ビタミンや必須脂肪酸を多く摂取することで栄養の周りをよくすることが目的です。しかし成長の停止が見られる場合には、肺の成熟次第で早めの娩出を考慮することになります。