脳膿瘍の症状

脳膿瘍では、約7~8割に頭痛がみられます。また、約半数で発熱や嘔吐・悪心を、約3割で痙攣を伴います。その他の症状として、手足の運動麻痺や感覚麻痺、意識障害、精神障害などがあげられます。脳腫瘍と同様に身体の片側だけの麻痺や局所痙攣、言語障害や思考障害など、脳の局所症状があらわれるのが特徴です。

このような症状は、膿によって脳そのものが障害を受け、周辺部の炎症や浮腫による圧迫などが原因で起こります。局所症状は、膿の発生部位や炎症の程度によって異なります。診断が遅れると死亡率が高まります。また、生存しても麻痺やてんかんなど重度の後遺症を生じることがあります。

脳膿瘍の原因

脳膿瘍の原因の約3分の2は、頭部で起きた感染が脳に広がって生じます。中耳炎、副鼻腔炎、乳様突起炎、頭部の手術や脳に及ぶ頭部の外傷、頭蓋骨骨折などが感染源となります。約3分の1は、心内膜炎、気管支炎、気管支拡張症など他の部分で生じた感染が血流によって脳に到達して起こります。

ブドウ球菌や連鎖球菌などの化膿性の細菌が主な原因菌ですが、免疫機能が低下した人では真菌やトキソプラズマ原虫による感染が原因になることもあります。また、先天性心疾患が引き金になるものや、感染経路がはっきりしない原因不明のものもあります。

脳膿瘍の治療法

脳膿瘍はまれな病気です。予防措置が取られることはほとんどありません。しかし、診断や治療が遅れると予後が不良になるため、頭痛や発熱が続き痙攣などが生じた場合は、脳神経外科・神経内科等の専門医の診察を受けることが重要です。

脳膿瘍の治療は抗菌薬の投与が中心になります。また、穿刺吸引やドレナージによって排膿をおこないます。場合によっては開頭手術で膿を摘出することもあります。また、脳圧亢進や脳浮腫に対してはステロイドを、痙攣に対しては抗痙攣薬を使用します。