絨毛がんの症状

絨毛がんの基本的な症状は子宮からの不正性器出血で、もっとも発症頻度の高い症状となっています。出産後の長引く出血、あるいは月経以外の出血などが該当します。
  
また、絨毛がんはほかの臓器に転移しやすい傾向にあり、転移した部位で出血をおこすと同時に腫瘤が形成される可能性があります。特に多い転移先である肺で出血ないし腫瘤が形成されると、胸痛、呼吸困難、血たん、咳などの症状が現れるようになります。ほかにも脳に転移したことで頭痛、まひ、意識障害、けいれん、そして腎臓に転移すると血尿が現れるようになります。
  
そのため、必ずしも最初から絨毛がんの可能性が疑われるわけではなく、内科、脳神経外科、泌尿器科などの検査によって発病が確認される場合があります。

絨毛がんの原因

絨毛がんの発病にいたる原因は、妊娠性と非妊娠性によって異なっています。
   
妊娠性の絨毛がんの場合は、妊娠時の胎盤を形成する絨毛細胞が妊娠終了後も体内に残り続けた結果、一部の絨毛細胞が悪性に変わったことで発病したり、胞状奇胎から発生します。そのため、妊娠経験のある女性限定の疾患となる一方で、発病に際しては妊娠の形態を問わない、という側面があります。即ち、通常の出産はもちろん、流産、中絶、早産、正常分娩などでも発病する可能性があるのです。
  
そして、妊娠の有無に関わらない非妊娠性の絨毛がんの場合は、卵巣や睾丸における胚細胞腫瘍によるものとほかのがんの分化異常によるものがあります。非妊娠に限っては妊娠の有無はもちろん、女性だけではなく男性も発病するリスクを伴います。

絨毛がんの治療法

絨毛がんの発病を予防する方法は確立されていないのが現状です。
  

しかし、妊娠性の絨毛がんの場合は発病のおよそ50%が胞状奇胎を先行妊娠として発生しているため、分娩された後の胞状奇胎の適切な管理を行なう必要があります。そうすることで、がん細胞の早期発見に繋がると同時に、治療の開始を早めることができます。その結果、現在では胞状奇胎の絨毛がん発病率が減少傾向にあります。
  
しかし、その一方で胞状奇胎のように管理することができない出産や正常な分娩、流産後の発病頻度が相対的に上昇傾向にあります。そのため、妊娠・出産の経験の有無に限らず、今後妊娠の予定がある方は、非妊娠性と共に発病に関する知識を踏まえ、注意する必要があります。