急性上腸間膜動脈閉塞症の症状

急性上腸間膜動脈閉塞症の初期症状は激しい腹痛ですが、発生直後の腹部は柔らかく圧痛はありません。
 
その後、腸虚血が進行するに伴い腹部圧痛、筋性防御、筋硬直などの腹膜炎症状が起こってきます。腸虚血状態が続くと腸の浮腫や麻痺により腸蠕動運動が低下するため腸閉塞状態となり、腸音の消失、腹部膨満、嘔吐、脱水症状を起こします。また、血便が見られることもあります。
  
さらに進行すると腸管の壊死を起こすため、顔面蒼白、冷や汗、手足の冷感、血圧低下、意識レベル低下、脈や呼吸が弱くなるなどのショック状態が起こります。
腸管壊死から腸管穿孔を起こすこともあり、その際の手術は壊死部の切除だけでなく人工肛門造設が必要となります。

急性上腸間膜動脈閉塞症の原因

急性上腸間膜動脈閉塞症を起こすのは、血栓症と塞栓症の二つがあります。
   
血栓症は心房細動、心臓弁膜症、心不全、不整脈など心臓疾患が原因で起こります。心臓の動きが悪いため血液の塊ができやすく、その血塊が血流に乗り上腸間膜動脈で詰まることで発症します。
塞栓症は動脈硬化の進行が原因であり、上腸間膜動脈の内壁にコレステロールなどが沈着し、血管内腔が狭くなったところに動脈壁の内側が崩れて詰まることで発症します。
  
急性上腸間膜動脈閉塞症の発症リスクが高いのは、50歳以上の人です。また、心臓疾患や動脈硬化症以外でも動脈塞栓症、静脈血栓症、凝固亢進状態、炎症性疾患、腎不全、門脈圧亢進、外傷なども危険因子と言われています。

急性上腸間膜動脈閉塞症の治療法

急性上腸間膜動脈閉塞症を予防するためには、心房細動など心臓疾患がある場合、血栓を作らないようにすることが大切です。
  
ワーファリンなど抗凝固薬の服用が効果的ですが、定期的に採血しPT-INRの値を見ながら薬の量を調節する必要があります。医師の指示に従って自分に合った薬を服用することが大切です。
  
また定期的に検診を受け、コレステロールや中性脂肪などをチェックし、動脈硬化の進行を防ぐことが大切です。生活習慣病を防ぐためにも禁煙し、規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動を心がける必要があります。