大腸ポリポーシスとは
大腸ポリポーシスとは、大腸全体にポリープが存在すると同時に、大腸以外の消化管や全身の臓器にも異常を伴いやすい状態のことです。消化管ポリポーシスあるいはポリポーシス症候群とも呼ばれています。腫瘍性および過誤腫性ポリポーシスに分類される病気はいずれも遺伝性があるので、まとめて遺伝性消化管ポリポーシスと呼ばれることもあります。
大腸ポリポーシスの症状
大腸ポリポーシスは、大腸全体に多数(通常100個以上)のポリープが発生し、血便、下痢、腹痛などの消化器症状が現れていきます。腫瘍性のものと非腫瘍性のものがありますが、ともに進行すると大腸がんの発症に至ります。肛門からのポリープ脱出や進行した大腸癌による腸閉塞に至るケースも報告されています。他にも体表面に骨腫や軟部腫瘍(表皮嚢胞、線維腫など)が現れることがあり、これが確定診断に至るきっかけとなることも多くあります。
大腸ポリポーシスを発症すると高確率で胃、十二指腸、小腸、骨、軟部組織、眼などの大腸以外の全身の臓器に、ポリープなどの合併症を発症する可能性が指摘されています。
大腸ポリポーシスの原因
大腸ポリポーシスは遺伝的要素の強い病気で、親が罹患していれば5割以上の確率で子供にも性別差なく発症します。原因となる遺伝子は、5番目の染色体にあるAPC遺伝子の異常が原因となっていることがわかっています。しかし5番目の染色体にあるAPC遺伝子以外の遺伝的要素によっても発症するケースも報告されています。
原因の特定のためには、内視鏡検査などでポリープの有無を確認し、多数のポリープが確認されれば、さらに遺伝子検査より確定診断を行います。大腸ポリポーシスとと診断された場合、症状がなくても胃・十二指腸のX線および内視鏡検査、骨X線検査、眼底検査などを行い、大腸以外への発症がないかどうかを確かめる必要があります。
大腸ポリポーシスの治療法
大腸ポリポーシスは遺伝的要素が主な原因のため、近親者にこの病気の人がいれば症状が出る前に、定期的に大腸の検査を受けることが必要です。遺伝子検査などによって症状が出る前にわかった場合には予防的手術として、大腸の切除手術を受けることが必要となります。これは遅くても20代前半までに行うのが望ましいとされています。
大腸以外はがん化する可能性が低いので、予防的手術は大腸のみで良いとされています。
もし自分が大腸ポリポーシスと診断された場合には、そのことを意思に伝えた上で、大腸の検査を早急に受けることが予防につながります。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください