症状

乳管とは、乳腺から分泌される物質である母乳が通る器官のことをいい、この乳管が病的に拡張したものを乳管拡張症といいます。
この病気にはほとんどの場合、症状が出ることはありません。そのため、発見される場合は乳がん検診などで実施される超音波検査によって偶然発見されることが多いです。
  
一部の人々では、乳頭から乳汁のような分泌物を生じる場合もあり、これらの分泌物に茶褐色、あるいは血液が混じっている場合は、腫瘍が関係している可能性があります。乳頭からの異常分泌以外のその他の症状としては、乳頭陥没や乳輪下のしこり、皮膚のただれ、へこみ、痛みなどがある場合もあります。
  
また、乳管拡張症は、40代から50代の中年の女性に発症するといわれています。

原因

乳管拡張症は、乳管が異常に拡張することにより乳管の周囲に炎症が起こる病気のことをいいます。乳管の病的な拡張の原因は、乳腺の異常分泌などにより起こると考えられています。
  
また、その他にも乳管壁が破壊されることで乳管が拡張するとされ、若いころの慢性的な乳腺の周囲の炎症も原因としてあげられています。乳腺の炎症の病気としては、慢性乳腺炎があげられ、授乳とは関係が少ないとされています。
  
乳頭腫や乳がんなどの腫瘍がある場合には、その腫瘍からの出血によって乳管の拡張が起こることもあります。閉経期の前後で起こる症状ですので内分泌ホルモンの変動が原因としてもあげられます。
これらが起こることによって、乳管に分泌物や血液がたまり乳管の周囲に炎症が起こります。

治療法

乳管拡張症の原因は、さまざまあります。そのひとつに若いころに慢性的に乳管の炎症があったことによる乳管壁の破壊が原因というものもあります。なので、その予防としては、乳管の炎症をなるべく避けて生活することと言えます。
しかし、それだけが原因ではなくすべての予防は難しいため、乳管拡張症を発見した場合は、経過観察を行い、悪性のものにさせないようにすることが最大の予防と言えます。
  
乳管拡張症の治療は、基本的には経過観察で、症状が重い場合には乳管を取り除く手術を行います。悪性腫瘍と関係がある場合には、手術を行うとともに放射線治療や薬物治療なども行います。