羊水過多症とは
妊娠中の妊婦において、子宮内の羊水が800ミリリットルを超えた状態で、妊婦が自覚症状を伴う場合に羊水過多症と診断されます。 通常、胎児の尿や、肺胞液から羊水が生成され、嚥下により胎児に吸収されます。 それらのバランスが上手に取られることにより羊水の量は安定しますが、何らかの要因によりバランスが取れなくなった場合に羊水過多状態になります。
羊水過多症の症状
羊水過多症の症状は、大別すると急性型と慢性型に分けることができます。急性型の場合は、お腹が急激に大きくなり、腹痛、腰背部痛、吐き気などを起こし、最悪の場合は急激な子宮底の増大に伴って、横隔膜拳上による呼吸困難や動悸、胃の圧迫による嘔吐などを起こします。場合によっては、下肢や外陰部に浮腫や静脈瘤の所見が出る場合もあります。
また、慢性型の場合は、急性型と同様の自覚症状が25週頃からあらわれますが、急性型と比較して症状が経度であるのが特徴的です。
羊水過多症になると、早期破水や前期破水をきたして、早産に至ることがあります。分娩時にも、分娩が長引いたり、臍帯や四肢の脱出、弛緩出血の可能性が高まるため、注意する必要があります。
羊水過多症の原因
羊水過多症の原因としては、羊水生産の過剰か羊水吸収の減少が考えられ、胎児側に問題がある場合と、妊婦側に問題がある場合があります。胎児側に問題がある場合は、脊椎披裂や、無脳児などの神経管閉塞不全、消化管上部の閉塞などの形態異常が発生して起こることがあります。また、双胎間輸血症候群による、胎児の多尿が要因となることも多く報告されています。
母体側に問題がある場合は、妊娠糖尿病になることや、ウイルス感染などが原因になります。
また、心臓や腎臓、肝臓に疾患があることに起因している場合があるといわれていますが、その頻度は低いです。
ただし、原因が解明しつくされているわけではなく、全症例の約半数は原因不明であるといわれています。
羊水過多症の治療法
羊水過多症の発症に関しては症例数の約半数が原因が不明であるため、確実な予防方法が無いのが現状です。ただし、妊娠糖尿病の場合は、羊水過多症の発症率が高いため、妊娠糖尿病を予防することが間接的に羊水過多症の予防になります。
そのためには、糖分は少なめにし、野菜を多めに食べ、栄養バランスのよい規則正しい食生活を送ることが挙げられます。また、味付けを薄くすることも重要です。更には、食事の量を管理して食べ過ぎないようにし、可能であればカロリー計算をして栄養管理を行うのが望ましいです。更には、適度な運動を行うことを心がけることも必要です。
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