胸膜腫瘍とは
胸膜腫瘍とは、肺を取り囲んでいる臓側胸膜と壁側胸膜にできる腫瘍のことです。肺がんや乳がんから転移したものもが圧倒的に多く見られます。胸膜自体の腫瘍としては、中皮腫があります。胸膜の内面を覆っている中皮にできる腫瘍で、悪性のものはアスベストが原因としてしられています。
胸膜腫瘍の症状
胸膜腫瘍は初期ではほとんど自覚症状がないことが多く、進行することによって胸の痛みや咳が起きることがあります。臓側胸膜と壁側胸膜の間に水がたまって胸水となることもあり、これにより呼吸困難や息切れなどを引き起こすことがあります。とくに悪性中皮腫の場合、呼吸困難や胸郭より下部の痛みの他にも腹部の疼痛または腫脹やしこり、体重減少などが起こります。
初期では自覚症状がほとんど無いことから、健康診断など胸部に水がたまっていることを指摘され精密検査を行うことによって初めて胸膜腫瘍や悪性中皮腫に気がつくことがあります。胸膜腫瘍の中でも、良性のものに関しては限局型中皮腫とよばれ命に関わる事態になることはないと言われています。
胸膜腫瘍の原因
胸膜腫瘍は、肺がんなどが血流に乗って胸膜に達し、胸膜にそって転移することが原因となって発症します。ほかには胸膜の中皮細胞が腫瘍化し、胸膜腫瘍となることもあります。これは悪性中皮腫とも呼ばれ、アスベストが悪性中皮腫の発症に強く影響することがわかっています。
アスベストは自然界に存在する鉱物ですが、以前は様々な場所で使用されており、アスベストにさらされていた期間が長ければ長いほど発症リスクが高くなります。仕事などで直接アスベストに触れる機会がなくても、家族が仕事で接触があった、周辺の工場などで使用されていたなどといったケースもあります。
なお、アスベストが原因の悪性中皮腫の発症には、アスベストの接触などから30年から40年ほどかかることがわかっています。
胸膜腫瘍の治療法
胸膜腫瘍は他の臓器からの転移と、アスベストによるものです。肺がんからの転移など他の臓器からの転移に関しては、もともとある病気の治療を早期に行い、抗癌剤などを適切に使用し、定期的に経過を見ていくことが大切になります。
アスベストによる悪性中皮腫は、アスベストと接触する際に適切な防護措置を施すことで予防することができます。現在ではアスベストの使用は禁止されていますが、撤去作業などを行う際には国が定める基準に沿った防護措置をとることが必要です。
アスベストに触れる仕事を過去にしていた場合、これから悪性中皮腫を予防することは困難なため、定期的に検診をけること、息切れなど自覚症状が出た場合にはすみやかに医療機関を受診することが必要となります。
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