肺外結核とは
結核は結核菌を吸い込むことで多くの場合肺に発症しますが、肺以外にも病気を起こすことで知られています。肺以外に新たな病変がおこったものを、まとめて肺外結核と呼びます。 治療法は発症した部位により異なり、基本的に薬物療法を行いますが病変によっては外科治療が必要となります。結核菌により髄膜炎を発症した場合は大変危険で、早期に治療を開始しないと命に関わったり重度の後遺症を残すことになります。
肺外結核の症状
肺外結核は結核菌が発症した部位により様々の病態を呈します。感染する臓器としてはリンパ節が最も多く、特に多いのが頸部リンパ節結核です。症状は発熱と全身の倦怠感、頸部の腫れ、疼痛、発赤が見られる他、皮膚に穴が開き濃い分泌液を生じることもあります。また骨や関節にも発症し、背骨にできるのが「脊椎カリエス」です。微熱、食欲不振、全身倦怠感などが現れ、部分的には腰背部の痛み、脊柱の硬直が起こり、罹患部位の脊椎を叩くと痛みが生じます。
ついで腎臓(腎結核)が多く見られます。背部痛の他、頻尿や排尿時の痛み、残尿感を感じるようになります。発症する部位で一番危険なのは脳です。結核菌が脳を包んでいる髄膜にたどり着き、そこに病巣を作ることによって起こる結核性髄膜炎は、治療が遅れると3分の1の方が亡くなり、治っても脳に重度の後遺症を残します。症状はとくに発熱と強い頭痛が特徴です。
肺外結核の原因
結核は結核菌を吸い込むことにより感染し、発病する感染症です。結核菌を吸い込み、その結核菌が肺の中で増殖をしたことにより発病し肺結核となります。肺外結核では、結核菌がさらにリンパ液や血液の流れにのったり、気管支を逆行して鼻咽喉頭部に達したり、あるいは消化管に飲み込まれたりすることが原因で、胸膜、咽頭、腸、腎臓、膀胱、骨、皮膚などほぼ全身いたるところの臓器で病変を生じます。肺外結核が起きるのは結核患者全体の約1割とされています。結核・肺外結核は感染後すぐに発症するというわけではなく、ツベルクリン反応が陽性であっても多くの人は一生涯発症することはありませんが、感染者の抵抗力の落ちたときや、免疫力が低下したときには発症のリスクが高まると考えられています。
肺外結核の治療法
肺外結核の予防は通常の結核の場合と同様、結核菌への暴露を避け、感染が疑わしい場合は早期に抗結核薬の服用を行うことが大切です。結核の患者の感染性が強いと考えられるのは、結核菌を含んだ飛沫が空気中に大量に発生する場合です。激しい咳などの症状を訴える患者は、他の方への感染を予防するため個室の病室へ隔離が必要となります。また、発見が遅れて咳が長期持続していた場合は、周囲に感染している可能性が高いと見るべきです。
身近な方が結核を発病した場合はツベルクリン反応、胸部X線検査、症状、血液検査などを行い、感染が疑われたら抗結核薬(INH)を6ヶ月間服用します。これは予防のための服薬であり、生活やその他の制約はありません。最近では20~30代の方の罹患が増えているため、注意が必要です。また薬が効きにくい結核菌が増えているのも問題です。
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