脾臓損傷とは
人体の左側上腹部に位置する脾臓に発症する外傷性の症状を脾臓損傷と言います。脾臓損傷を発症することで、脾臓が持つ機能が健全な形で行われなくなるほか、激しい痛みを発症し正常な活動を行えないなどの支障も現れます。元来、脾臓を損傷した場合、脾臓の摘出手術による治療が一般的な方法とされてきましたが、近年ではその考え方が改まり、最新の医療技術を駆使した脾臓を温存した状態で治療を行う両方が一般化しています。この事から、実際の治療期間も短くなる傾向にあります。
脾臓損傷の症状
脾臓損傷では左上腹部の痛みを中心とした様々な症状がみられます。多くの場合、左上腹部の打撲により発症するため、打撲痕や内出血が見られることがあります。その場合は、見た目からも容易に判断出来る状態となるため、速やかな診察と適切な治療を行う必要があります。また、脾臓が腫れることによってその内側にある胃が圧迫されるなどし、吐き気などの消化器症状を起こすこともあります。周囲の神経を損傷することにより、左肩に痛みが出ることもあります。
脾臓の損傷の程度がひどい場合は、脾臓から腹腔内に出血し、出血性ショックによる血圧低下など命に関わる状態になる危険性もあるため、脾臓損傷が疑われる場合には注意が必要です。
脾臓損傷の原因
脾臓損傷の代表的な原因は、脾臓の存在する左上腹部の外傷です。よくある原因は、交通事故や高所からの転落などの外傷による左上腹部や左背部の強い打撲です。まれな原因としては、銃創や刺創による損傷もあります。打撲により脾臓が直接損傷を受ける場合の他に、肋骨の骨折によって折れた肋骨が脾臓を傷つけてしまうことによって損傷が生じる場合もあります。
脾臓損傷の治療法
まず、脾臓損傷の予防法は交通事故などの外傷を避けることです。脾臓損傷の治療は、造影CTなどによる重症度判定の結果により変わります。
軽度で腹腔内に出血をしていない場合には、経過観察することで、自然に回復することが期待できます。ただし、外傷を受けた直後に出血がなくても時間が立って出血することもあるので、注意は必要です。
一方、重症で腹腔内に出血している場合には、血管内治療や手術による脾臓摘出など、出血を止めるための治療が必要です。脾臓の摘出は免疫力の低下に繋がることがあるため、できるだけ血管内治療による止血が望ましいですが、出血が止められない場合には手術による脾臓摘出が行われます。
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