転移性肝がんの症状

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、異常があっても痛みなどの自覚症状が出にくい臓器です。転移性肝がんの場合も、原発性肝がんと同様、かなり進行するまでは無症状であることが多いです。がんの進行に伴い、上腹部に圧迫感や、外から触ったときにしこりを感じるようになります。さらに進むと肝臓の機能が低下し、黄疸や腹水が見られるようになります。
ただし多くの場合、転移性肝がんはその症状により発見されると言うことはなく、多臓器の原発性がんの発見と同時か治療中、または経過観察中に見つかることがほとんどです。ただし、膵臓がんなど発見が難しいがんは、転移性肝がんの発見後に原発巣が見つかるという場合もあります。

転移性肝がんの原因

大腸や胃などの肝臓以外にできた臓器のがん細胞が、主に血液やリンパ液の流れに乗って肝臓にたどり着き、そこで増殖することが転移性肝がんの原因です。肝臓に発生するがんとしては原発性肝がんより多いとされています。
原発層としてはほぼ全てのがんが肝臓に転移する可能性がありますが、最も多いのが大腸がんの肝転移です。この場合、早期大腸がんが肝転移することは稀で、主に進行性大腸がんから転移し、特に進行したS状結腸癌や直腸がんでは20~30%において肝転移が見られます。
大腸がん以外の原発巣としては、胃がん、膵がん、胆管がん、乳がん、肺がん、子宮がん、卵巣がんからの転移も多く認められます。その他、平滑筋肉腫、カルチノイド、神経内分泌腫瘍からの転移が起きることもあります。

転移性肝がんの治療法

転移性肝がんの予防は、がんの再発予防治療となります。
ステージ1で外科手術が可能である場合、またはその他のステージでも根治が期待できる場合は、原発巣の除去と同時に、周囲の一定範囲のリンパ節を摘出するリンパ廓清を行います。
また、手術で目に見えなかったような微少ながんの取り残しが存在するという前提の元に、手術後に抗がん剤による追加治療を行う場合もあります。これは術後化学療法と呼び、手術単独で治療を行う場合と較べ、再発予防効果があることが明らかになっています。また手術後に放射線治療を行うこともあります。
いずれの治療も、程度の差はありますが患者さん本人の身体には負担をかける治療法ですので、体力や既往症などあわせて考慮しつつ、どこまで治療を行うか慎重に決定する必要があります。