パンナー病の症状

パンナー病の症状は、肘の外側に当たる上腕小頭骨の中心部である骨端核が次第に損傷されていくという特殊なものです。損傷が進行しているときには、肘に強い痛みや可動域の制限を感じることもしばしばあります。
しかしたいていの場合、骨端核がある一定の段階まで損傷を受けると、自然に修復へと向かい、痛みなどの症状も安静によって回復することがほとんどです。1~3年ほど経過するとほぼ完全に治癒することが多く、障害も残りません。
注意すべき点としては、パンナー病と似たような症状を引き起こす疾患である離断性骨軟骨炎と、明確に区別される必要があるということです。パンナー病自体は重症になることは少なく、障害も残りにくい病気ですが、離断性骨軟骨炎は自然に改善することは少なく、関節炎などを引き起こすこともあるので注意が必要です。

パンナー病の原因

パンナー病は症例の非常に少ない珍しい病気であるため、原因も未だに明らかにされていない部分が多く残されています。発症する児童自体が少ないため、症例の観察や分類が困難になっていることが要因の特定を阻んでいるのです。

有力な説としては、症状がスポーツをしている男児に現れることが多く、少年野球をしている子供は右側に多く症状が見られることなどから、スポーツによる肘の酷使や外傷などが原因の一つではないかというものがあります。

パンナー病と似た疾患である離断性骨軟骨炎の原因も肘の上腕小頭骨に繰り返し負荷や外傷がかかることであり、症状が似ていることから発症の要因も共通しているのではないかというのも理由の一つです。

ただし、離断性骨軟骨炎には上腕小頭骨が壊死し、改善が見込みにくいのに対し、パンナー病の場合は自然と修復に向かうという特徴があることから、その違いを引き起こす理由を明らかにすることが求められています。

パンナー病の治療法

パンナー病は、要因がはっきりしていない部分が多くあるため直接的な予防策は未だに存在していません。ただし、上腕小頭骨の損傷が止まり修復へと向かうまで、患部にストレスや負荷をかけることを避け、出来る限り安静に保つことが、重症化を予防することへとつながると言われています。例えば野球をしている患者の場合には、変化球の投球を許可しないなどの対策が具体的に挙げられます。
また、パンナー病と離断性骨軟骨炎とを診断に際してしっかりと区別することも求められます。万が一離断性骨軟骨炎をパンナー病であると間違って診断してしまった場合、前者は安静にしていても改善が見込みにくいという特徴があるため、関節炎や運動障害などを引き起こしてしまいかねません。