腎症候性出血熱とは
腎症候性出血熱は、ネズミなどの齧歯類からハンタウイルスに感染することで起きる病気です。重症型腎症候性出血熱と軽症型の流行性腎症がありますが、重症型の場合重篤な腎機能障害などの症状を起こし、死亡することもあり大変危険です。特定の治療法がないため、発病したら対症療法が中心となります。発症早期には、リバビリンが用いられることもあります。
腎症候性出血熱の症状
腎症候性出血熱の症状は重症アジア型と軽症スカンジナビア型に分かれます。軽症型は上気道炎症状と微熱、検査でわかる程度の尿異常だけで回復し、重症化することはほとんどありません。
重症型は、ウイルスに感染後4~42日程度の潜伏期間の後、突然の高熱が出て、頭痛、嘔吐、脱力、悪寒、めまいの他、眼球結膜や軟口蓋に発赤や出血斑、顔や胸の上部に日焼けのような皮膚の発赤や出血斑が生じます。4日目ごろから血圧が低下し、重度のショック状態を来します。ついで尿が減少し無尿となり、重篤な腎機能障害に至る場合があります。幻覚、痙攣、肺内に水がたまる肺水腫が見られることもあります。この時期を持ちこたえられると10日前後頃から尿量が増え、症状が改善していきますが、5~15%の方は死亡しています。
腎症候性出血熱の原因
腎症候性出血熱の原因となるハンタウイルスはネズミなどの齧歯類の一部が持っているウイルスです。流行地域でこのウイルスに感染した齧歯類の、糞や尿が粘膜や傷口に直に触れたり、糞尿が含まれたほこりを吸い込んだり、直接噛まれたりするなどして人間に感染します。また、ネズミが保有するダニが媒介して人間に感染することでも知られています。人間から人間への感染は現在のところ見つかっていません。
ウイルスはアジアからヨーロッパに渡る地域で広く流行しています。感染した場合重篤な症状となりやすいハンターン型ウイルスは韓国、中国で流行しています。
日本のネズミもハンタウイルスに感染していることは確認されていますが、1970年代を最後に、最近では患者の発生は確認されていません。
腎症候性出血熱の治療法
腎症候性出血熱の積極的な予防方法として、韓国および中国では不活化ワクチンが開発されて一部で使用されていますが、日本国内にはありません。したがって、予防策としてはげっ歯類との接触がないように環境を整備することが重要となります。キャンプなどの屋外活動を行う際には、周囲のネズミを駆除するのが望ましいです。使われていない小屋はネズミの糞尿で汚染されている可能性があるため、徹底的に清掃を行います。その際掃除機やほうきなどのほこりを巻き上げるような器具は使うのは避け、漂白剤で汚染部を十分に湿らせてペーパータオルなどで拭き取ってください。掃除中はほこりなどを吸い込まないようマスクを着用してください。食料品はネズミが囓らないよう蓋をして保管し、もし食べられてしまったら廃棄して口にしないよう注意します。
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