カドミウム中毒とは
カドミウム中毒とは、カドミウムを過度に摂取した場合に生じる病気です。カドミウムを長期に渡って多く摂取した場合、中毒症状が起きるようになります。急性のカドミウム中毒であれば回復は早いものの、慢性的である場合には、腎臓や骨の機能に問題が生じる事から治療を必要とします。
カドミウム中毒の症状
カドミウム中毒による症状としては、急性のものであれば、悪寒や発熱、筋肉痛といったインフルエンザ様症状や、腹痛や下痢、さらに吐き気や嘔吐といった病状を示します。しかしこれらの症状はすぐに回復することもあります。カドミウム中毒が慢性化したり、大量の暴露を受けたりすると、腎臓が障害を受け、蛋白尿や、低リン酸血症、筋力低下や昏睡などを起こしたり、高尿酸血症により関節に尿酸結晶が蓄積し痛風を生じたりします。
さらに、カドミウムの長期に渡る過剰な摂取により、骨からカルシウムが失われていき、骨軟化症の症状を示すようになります。骨からカルシウムが失われることから、腰や背中、さらに股関節や足といった部分に傷みが生じます。また、骨盤や大腿部などの骨が出ている部分に圧痛が起きます。骨軟化症から、歩行傷害などの問題が起きることがあります。
カドミウム中毒の原因
カドミウム中毒が起きる原因は、カドミウムの摂取や吸引が要因として挙げられます。カドミウムは、亜鉛や鉛といった金属を精錬した後に生じる副産物です。そのため、鉱山などからの排水にカドミウムが含まれていた場合に、カドミウム中毒にかかるおそれがあります。かつては、この中毒がイタイイタイ病など、公害として広く世間に知られるようになった経緯があります。体内にカドミウムが侵入すると、メタロチオネインと結合し、その物質が腎臓に蓄積されていきます。その結果として、腎臓の近位尿細管の細胞が障害をうけて、腎臓の機能を妨げるようになります。カドミウムの体外への排出は自然状態では緩やかである事から、体内にカドミウムを取り入れると腎臓などに蓄積しやすい傾向があります。
カドミウム中毒の治療法
カドミウム中毒に対する予防方法には、カドミウムが含まれた飲料水や食物などを摂取しないということが大切です。法律によって、一般に飲料水や食品に含まれるカドミウムの量は規制されています。安全基準に沿った飲料水や食物であるかどうかの確認が重要です。もし体内にカドミウムを入れてしまった場合には、速やかにカドミウムを体外に排出する治療を行う必要があります。胃の洗浄を行ったり、さらにはキレート薬を用いることによって、体内に入ったカドミウムをできるだけ排出することが有効です。
カドミウムを摂取したり吸い込んでしまったら、迅速に医療機関に受診することが大切です。
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