遺伝性脊髄小脳変性症の症状

遺伝性脊髄小脳変性症による症状としては、手が震えたり、足が突っ張る、さらに目の動きに制限が生じるといった問題が起きます。また、歩行時にふらついたり、あるいはろれつが回らなくなるといったことも生じます。始めは震えや軽い歩行の障害から始まり、さらにはろれつがまわらずうまく話すことができなくなる、うまく手を使えなくなるなどといった症状がゆっくりと進行していくことが多いです。
遺伝性脊髄小脳変性症では、原因となる異常遺伝子によって、それぞれに現れる症状が異なるという特徴があります。また、病状の進行具合としては、徐々に病状が悪化し何十年にもかけて進行していきます。遺伝子異常の部位の繰り返しの部分が長いほど、病状が早く現れる傾向にあります。

遺伝性脊髄小脳変性症の原因

遺伝性脊髄小脳変性症は、優性遺伝や劣性遺伝をし、遺伝子の異常により、脳幹や脊髄、さらに小脳が正常に機能しなくなることが原因として挙げられます。脳幹などの脳組織は、人間の運動や生命活動の維持のための重要な役割を持っています。これらの組織の神経細胞が変質してしまう事から、運動や神経系に対して異常をもたらします。
脊髄小脳変性症の病気の中でも、遺伝性脊髄小脳変性症は遺伝子が原因として特定されています。そのため、原因遺伝子の特定や分析によって、治療の手掛かりが掴むことができる可能性があります。しかし、遺伝子の異常がもたらしているタンパク質機能の問題や、さらには脳内部での影響について、明らかにはなっておらず今後の研究が必要となっています。

遺伝性脊髄小脳変性症の治療法

遺伝性脊髄小脳変性症に対する予防方法については、遺伝子が原因となる事から、具体的な方法は見つかっていません。もし遺伝性脊髄小脳変性症について病状などから疑われる場合には、この病気であるかどうかの特定を早期に行うことが有効です。他の疾患が原因となっている場合もあるため、この病気であるかどうかの区別を行う必要があります。
治療は、それぞれ症状に対する治療を行い、運動失調などの病状が表れた場合には、甲状腺ホルモンの刺激剤などを使い、症状を抑えることもあります。
また、今後の遺伝子治療の研究が、この病気に対する新たな予防や治療のための対策方法を生み出す可能性があります。