症状

単純性腎嚢胞は腎臓内の嚢胞が小さい場合には、無症状であることも多い病気です。
嚢胞が大きくなった時には、腹部に触れた時に圧迫感を感じることもあります。血尿が起こることもあります。さらに腎盂付近に嚢胞ができてしまった場合には、水腎症を併発することがあります。もし水腎症を併発した場合には、肥大した腎盂によって最終的に腎機能障害を引き起こすこともあるので注意が必要です。
さらに出血性嚢胞や尿路感染症、嚢胞破裂などの合併症を引き起こす可能性もあります。
症状が出るのは、30代以降の男性に多いという報告がありますが、単純性腎嚢胞だけで合併症がない場合には、腎機能の低下は起きないとされていますから、腎機能の低下が伴う場合には合併症が強く疑われます。

原因

単純性腎嚢胞の直接の原因はまだわかっていませんが、腎虚血、尿細管の閉塞あるいは髄質の間質線維化が原因ではないかとされ研究が行われています。さらに30代以前ではほとんど発症例がなく、60代以降に急増することから加齢との関連も疑われています。

単純性腎嚢胞でできる嚢胞はほぼ良性ですが、ごくごくまれに悪性の嚢胞ができることもあることが報告されています。

また腎癌が原因となって嚢胞ができることもあるので、嚢胞が確認された時にはCTやMRIなどで癌や悪性の可能性があるかどうかを調べ単純性腎嚢胞と区別することが必要となります。

いずれにしてもどのようにして発症するかがわからないので、健康診断の時などに定期的に検査を受けることが必要です。

治療法

原因がわかっていないので、予防することは困難です。
それで発症後に症状に合わせた対症療法や、合併症の治療が行われます。
単純性腎嚢胞でできる嚢胞は基本的に良性のものですが、極稀に悪性のものができることが確認されています。嚢胞癖に石灰化が確認されたり、壁の不正が見られるときには特に注意が必要です。また単純性腎嚢胞から癌になることは極稀ですが、逆に腎癌に伴い嚢胞ができることはあります。
無症状の場合には治療の必要はありませんが、嚢胞が大きくなったりした時には、中の液体を吸い出したり、ミノマイシンなどで固定することもあります。