先天性胆管拡張症の症状

先天性胆管拡張症の主な症状は黄疸やお腹のやわらかな腫瘤、腹痛とされており、子どもの時に見つかることが多いです。
これら典型的な症状は乏しいことも多く、ほかにも胆汁の流れが悪くなったことで白っぽい便が出るようになる間欠的灰白色便や、胆管に穴があいたことで生じる胆肝炎による発熱や嘔吐といったものが現れることがあります。また、胆道が詰まったことで生じる黄疸が進行した結果、肝硬変になる恐れもあります。これを胆汁性肝硬変と呼ばれています。
また、先天性胆管拡張症があっても必ずしも症状が現れるわけではないため、成人後の健康診断を受けたりしてはじめて発病が確認される場合もあります。

先天性胆管拡張症の原因

先天性胆管拡張症は、先天的に肝臓と十二指腸との間にある胆管が拡張して起こります。
胆管は胎児の初期の段階で形成されますが、その時の何らかの異常により、管の一部が嚢腫状や紡錘状にふくらんでしまいます。
また、胆管と膵管は、十二指腸に開口し、胆汁や膵液を消化管内に排液していますが、
胆管と膵管が十二指腸壁外に合流するという膵胆管合流異常という解剖学的な異常が先天性に起きることが原因にもなります。
膵管や胆管は、十二指腸の壁内で合流すると胆汁が逆流しないように働きます。しかし、すい胆管の合流に異常が生じると、胆質の逆流を防止することができなくなります。結果、食物の消化作用がある酵素を含むすい液が総胆管上皮や胆道壁に障害を与えることとなり、炎症が生じるようになります。そして、炎症の進行によっては嚢胞が形成されるようになり、胆管の壁が風船のように広がってしまいます。
これらは何らかの遺伝的な因子が関係しているとも考えられています。

先天性胆管拡張症の治療法

先天性胆管拡張症は先天的な疾患であるために、発病自体を予防することは難しく、早期発見をし、適切な治療措置を行うことが大切になります。というのも、発病に伴う症状の緩和をするのも当然ですが、症状を放置しておくと肝硬変や胆管や胆嚢にがんが現れる可能性があるからです。
先天性胆管拡張症は腹部超音波検査を受ければ、拡張した胆管の有無を診断することができます。そして、原因である胆管と膵管の合流異常が生じているかどうかも確認することができます。
また、症状が確認されると基本的な治療法として、絶食と同時に消化酵素をおさえる薬の投与、手術などが行われます。