遊走腎の症状

遊走腎の症状としてはほとんどの人が無症状で、検診時に遊走腎が発覚する場合が多いです。寝ると収まる腰痛、長時間立つことによって腹部痛、背部痛が起こりますが多くの人が右側の痛みを訴えます。
  
胃痛、血尿、たんぱく尿、腎臓が垂れ下がることで尿管や膀胱が圧迫されて起こる排尿困難、頻尿、残尿感、排尿痛などが起きます。頭痛、耳鳴り、倦怠感、胃腸障害、食欲不振、吐き気、下痢、便秘、腹部膨満感などが症状として挙げられています。
  
しかし、遊走腎によって腎機能が悪くなることはほとんどありません。また遊走腎によって胃下垂など他の内臓下垂と合併することがあるので注意が必要です。

遊走腎の原因

遊走腎の原因は先天的要因と後天的要因の2つに分けられています。先天的要因の場合は腎臓を支えている腎周囲脂肪からなる脂肪皮膜、腎筋膜が弱いために生じると考えられています。後天的要因の場合は腹筋のゆるみ、腹圧低下、腎周囲脂肪組織の低下が挙げられます。
  
どちらも立った状態では、右腎の上に重量のある肝臓があることから、右腎の方が左腎に比べて下垂しやすい傾向にあります。遊走腎は痩せている人や出産経験者に多い疾患で、痩せている人の場合は腎臓を支える腹膜と脂肪が薄いためなりやすいと考えられており、出産経験者の場合は出産によって腹筋が弱くなるためになりやすいと考えられています。

遊走腎の治療法

遊走腎の予防としては適度なカロリーを摂取できるような食生活の見直しと、運動療法やコルセットなどを使って腹筋を強化することです。遊走腎の治療方法は症状がない場合はそのまま経過観察をし、症状がある場合は保存的治療を優先して行います。
  
保存的治療は予防でも述べたように、痩せ型の人が体重を増加させて脂肪を増加し、腎臓を支える力を強化するというものです。また、理学療法としては腹筋、背筋の強化をし、腹壁の緊張を保持すします。遊走腎の外科的手術として、腎固定術が行われることがありますが、これは極めて少数であるため、一般的には保存的治療と理学療法を用います。また手術を行っても効果が得られない場合もあります。